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夫をやめます

「ねえ、和くん。次に帰ってこれるのはいつなの?」
「えっ。先週帰ったばかりじゃんか」
画面の中にいる優子は子犬みたいな目でじっと僕を見つめてくる。
「寂しいの。だって私達、新婚じゃんか。それなのに単身赴任だなんて会社も酷いよ」
「まぁ、嫁も一緒にって計らいだったんだけど、優子も仕事をしている身だもんな」
3ヶ月前に僕達は結婚した。
甘い新婚生活が始まると思ったが、1ヶ月ほど前に転勤を言い渡された。
さすがに断ろうかと思ったが、2年経てば本部に戻してくれるという約束だし、
そのときは良いポジションを用意してくれる話だ。給料も上がる。
子どものことなど考えるとお金はあったほうが良い。
「で、次はいつ帰ってくるの?」
「来月くらいかな」
パソコン上のSkypeでお互いに顔を見ながら話している。
一日で最もかけがえのない時間だ。
「ああ、早く来月にならないかな」
寂しそうな優子が本当に愛おしくてたまらない。
「ごめん。明日も早いからそろそろ切るよ」
「あっ、まってお休みのチュウしよ」
優子は画面に向かってキスの顔をした。
僕は照れながら軽くキスの真似をした。
「じゃあ、お休み」
「おやすみー」
一息つくとベッドには行かず、クローゼットから小さな箱を取り出した。
「さて今日はどれにしようかな」
たくさんの女性用下着。全部自分用だ。
ゲイではないが小さい頃から女装癖があって、
いまでも下着を身につけてはオナニーをしている。
結婚したときに辞めようと思い全部捨てたが、
こういう趣味はなかなか抜けられないものだ。
転勤を機にまた下着を集め始めた。たまに会社につけて行ったりもする。
「よし、これにしよう」
女の子の気分になりながら、確実に股間が熱くなっていた。



パソコンから視線を上げると、水滴に濡れた窓があった。
梅雨特有のじっとりとした空気がオフィスの中に漂っている。
「雨、イヤですね」
隣の女子社員が声をかけてきた。
「そうだね。まったくイヤになるよ」
「宮本さん、奥さんがいないと家事大変じゃないですか?
特にこの時期は洗濯モノ乾かないし」
「ああ、そうなんだよ。帰ると仕事で疲れてるから、何もする気が起きなくてね」
急いで話を切り上げて、パソコンに視線を戻した。
というのも、洗濯物というキーワードに少しドキリとしたからだ。
じつは洗濯した男性用の下着が乾かず、いまは女性用の下着をつけている。
(いま、僕はこの子と同じタイプの下着をつけてるんだよね)
そう考えると妙な興奮があった。
これじゃ変態だなと思い、頭から振り払った。



夜。誰もいないオフィスで残業をしていた。
貯まっていた事務処理があったせいもあるが、
一つやってみたいことがあったからだ。
「よし、これで終わり」
パソコンを閉じると、念のため辺りを見回した。
いつもは人が行き交うオフィスだが、いまは誰もいない。
子どもの頃に隠れてオナニーをしていたような興奮と罪悪感があった。
ベルトを外し、チャックを下げた。
味気ない色をしたズボンの隙間からピンク色の布地が見える。
(普段、仕事をしているところでこんな格好をするなんて)
股間はすでに痛いほど勃起していた。ズボンをゆっくりと脱いで、横に置いた。
初めて女性用の下着を穿いたことを思い出した。あれは確か姉のショーツだった。
このままどうしようか。さすがにオナニーをするのは危険すぎるが、
高まった興奮をどうにかして抑えないといけない。

ガチャ。扉が開く音がした。その瞬間に呼吸がせり上がり、全身が固まった。
誰か入ってきた!
さきほどまであった興奮がスッと引いていくのを感じた。
「宮本さん…?」
ゆっくり振り返ると、新入社員の飯田辰雄だった。
「飯田くん、いやこれは」
飯田は学生時代にラクビーをやっていて、背が高く、体格もがっしりとしていた。
「何をしてるんですか?早くズボンをはいてください」
飯田に言われて、慌ててズボンをはいた。
「こ、これはなんというか、その」
なにを聞かれたわけでもないが、言葉が次から次へと出てくる。
そうでもしないと心が落ち着かないのだ。
「皆さんには黙っておきますよ」
飯田はスポーツマンらしい爽やかな笑顔で言った。
「えっ、あ、ありがとう」
その言葉に驚きながらも、妙な不安を覚えた。
「まぁ、その代わりといってはなんですが…」
(やっぱり脅迫して金を取るつもりなのか)
「週末に僕と付き合っていただきませんか?」



週末。飯田に呼び出された。
彼と並んで歩くのは恥ずかしかった。
僕は背が彼よりも頭一つ分は低いのだ。
しかし、あの秘密を握られている以上は、
こいつの命令に従うしかない。
しばらく歩くとバーやスナックといった店が目立つようになった。
まだ夕方なので開いているところは少ない。
飯田はその中にある雑居ビルに入っていった。

「いっらしゃいませ」
ハスキーな声がした。中年の女性のように見えるが、妙に体格が良い。
「ママ、お久しぶりです」
「あらー、飯田ちゃん。本当にご無沙汰ねー。どこで遊んでたのー」
どうやら飯田とこの女性(?)は知り合いらしい。
「この子をちょっと変身させてほしいんだけど…」
この子と呼ばれたことに腹が立ったが、いまさら帰ることも出来ない。
「うん、うん。凄くいいわ。小柄だし、色も白いし。
あっ、私はここでママをやってる小百合と言います。
さっ、こっちへ来て」
僕は小百合に連れられて、更衣室のようなところに入った。
「あの飯田は?」
「ここは男子禁制だから、奥の部屋にいるわ」
男子禁制という言葉が妙に引っかかった。

ロッカーが四方に敷き詰められ、
たくさんの衣装やカツラが並べられている。
まるで芝居小屋の楽屋みたいな雰囲気だった。
「さぁ、ここに座って。あなたお名前は?」
「宮本和樹ですけど」
「そうじゃなくて女の子の名前よ」
「ちょっと待って下さい。一体どういうことなんですか?」
「あら、あんた飯田ちゃんから何も聞いてないのね。
ここは女装クラブで女の子に変身するところなのよ」

僕は小百合ママに化粧を施され、衣装とカツラを着させれた。
茶色の長い髪、黒色のワンピース。
おまけに下着まで女性モノに変えさせられた。
「あなた、女顔だから似合うわよ」
と言って差し出された鏡を覗くと、確かに女性にも見えなくもない自分がいた。
「名前は飯田ちゃんと一緒に考えましょう。さっ、こっちに来て」
小百合ママについていくと、今度はバーのような部屋に出た。
照明が薄暗く、カウンターといくつかのテーブルがあった。
まだ他の客はいないようだ。
「こっちです」
飯田が手を上げていた。
「お前、一体どういうつもりだよ」
「そういう乱暴な言葉遣いをしたら駄目ですよ」
「しかし…」
次の言葉を言おうとしたとき、飯田は僕の顎を触った。
あまりに突然のことに体が固まった。
「凄く可愛いですよ。ママにも聞いたかもしれませんが、ここは女装クラブです。
いわば大人の社交場みたいなところだと思ってください」
「あ、ああ。つまり、飯田くんはそのゲイなのか」
「うーん、まぁちょっと違いますね。普通に女性が好きです。
ただ、女装子と遊ぶこともあるということですね」
それがゲイとどう違うのかいまいち分からない。
「こういう趣味ってなかなか人には言えないじゃないですか。
それがけっこうストレスになるんですが、こないだの仕事場での宮本さんを見て
この人なら打ち明けても大丈夫かなと思ったんです」
「そ、そうなのか」
とりあえず一安心した。こいつは僕を脅迫しようとは考えてない。
秘密を共有する仲間が欲しかったみたいだ。
「ママ、ビールを。さて、名前はどうしますかね?」
「名前は別に何でもいいんじゃないか」
グラスビールが二つ置かれた。
「駄目ですよ。そうだな、和樹だからカズミなんてどうです?」
「じゃあ、それでいいよ」
「ふふふ、それじゃ乾杯しましょう。カズミちゃん」
部下にちゃん付けで呼ばれるのになんとなくしっくりこないが、
ここではそれが普通なのだろう。
僕は開き直って、これも一つの経験だと思い
グラスを重ねあわせた。

徐々に店内が混み合ってきた。女装クラブだけあって、女性の客はいないらしい。
客層はいかにも女装してますという格好の人や
どう見ても女性にしか見えない人と様々だ。
女装子同士やカップルで来ている人がそれぞれに盛り上がっている。
「宮本さんは結婚されてるんですよね?」
「ああ。しかし、すぐに転勤になってね。妻には可哀想なことしたよ」
「お付き合いされて長いんですか?」
「社会人になってすぐに知り合ったから、かれこれ3〜4年は付き合ったかも」
「やっぱり結婚はいいものでしょうか?」
「まぁ、そうだな。古い考え方かもしれないけど、男は家族を持って一人前だからな」
「そうですよね。ささ、もう一杯飲んでください」
脅迫される心配もなくなり、気が緩んでしまったのか、
普段よりも酒のペースが早くなっていった。
頭がボーっとし始めて、距離感が遠のいていく。
「こういう趣味も悪くないと思うよ」
しっかり喋ってるつもりだが、呂律が回らなくなってきている。
「ぼ、僕は普通に女の子が好きだけどね、下着のデザインが可愛いと思うんだ、
肌触りも良いし。でも、だからといって男と付き合う気はないよお」
だんだん何を言ってるか分からなくなってくる。
そんな僕を飯田は笑顔で見つめている。
何かを言おうとしたときに、全身の力が抜けて、意識が遠くなっていった。

次に気づいたときには、ベッドのに寝かされていた。
肌寒い感じがして、自分の体を見ると、服を脱がされて下着だけになっていた。
驚いて起き上がろうとしたが、体に力が入らない。
辺りを見回すと、同じようなベッドが何個も並んでいて、その間にカーテンがあった。
(ここは一体…)
「気が付きましたか?」
飯田がベッドの端に座っていた。
「こ、これは…」
上手く口が回らない。
「可愛いですよ」
飯田は僕の腕や腹の辺りを一本の指でなぞった。
体は動かないが、感覚だけが妙にハッキリしている。
指はゆっくりと胸のほうに登って行き、乳輪の縁を撫でた。
「ん、ん」
自然と口から息が漏れていく。まるで感じてるみたいだ。
飯田が周囲の脂肪をぎゅっと握ると、Aカップくらいの胸が出来た。
そして、浮かび上がった乳首を指でいじり始めた。
「あっ、だ、だめ」
乳首が徐々に硬さを帯び、自分におっぱいが出来たような錯覚が出てきた。
飯田を見ると、いつもの爽やかな笑顔の面影はなかった。
それは雄の顔だった。呼吸が荒く、目が血走っている。
興奮している飯田に僕は恐怖した。
男の性欲を向けられることがこんなに怖いことなのだろうか。

飯田はショーツに手をかけた。相変わらず体は動いてくれない。
「カズミ、硬くなってるよ。包茎で可愛いね」
そんな趣味はまったくないのに、体の反応として勃起してしまった。
それを見られたことが、なんだがとても恥ずかしくて、泣きたい気分になった。
飯田は指にローションをつけて、僕の肛門辺りに塗り始めた。
(犯される…!)
直感的な恐怖で全身が硬くなった。
「もっとリラックスしなよ。指一本くらいなら切れる心配はないよ」
飯田は僕のペニスをしごきながら、ゆっくりとアナルに指を入れてきた。
たった一本の指なのに、何倍もの大きなモノが入ってくる感じがした。
「うっ、ああ、ああ」
僕の中で飯田の指がうねうねと動き回る。異物感がお腹の辺りまで届いてくる。
「だ、だめ。も、もう」
射精の波が登ってくる。そのとき飯田は扱くのをやめた。
一瞬、快楽がすっと引いたが、お尻の中にある指がある部分を執拗に触り始めた。
なぞったり、叩いたり、ぎゅっと押し込んだりしてきた。
ペニスへの刺激がないのに再び射精欲が登ってくる。
(なんで、どうして)
「い、イクー」
叫びながら僕はザーメンをまき散らした。普段の何倍もの量がでた。
「ふふ。カズミちゃんはとっても淫乱な女の子だね」
僕は今まで感じたことのない快楽にすっかり酔いしれてしまった。
射精後の気怠さは一切ない。むしろ満ち足りた気分になっている。
(こんなことは…)
カシャ。シャッター音がした。見ると飯田が携帯電話をこちらに向けている。
「脅迫するつもりはありません。まぁ、保険みたいなものだと思ってください」



「えっ、来週帰ってこれなくなったの」
「ごめん。急な仕事が入って」
優子の悲しい顔を見るのは辛かった。
「まぁ、仕方ないけど。最近、そういうの多くない?」
「うん。ごめんね」
仕事というのはウソだった。優子に会うのが後ろめたくなったからだ。
僕達は何気ない会話をして、スカイプを切った。
(これからどうしよう)
あの日、部下である飯田にイカされて、それを写真に撮られてしまった。
いまのところ脅迫されてはいないし、金を要求されることもない。
それどころか飯田はウィッグと服と化粧品をプレゼントしてきた。
次に会うときまでに一人で変身できるようにしておいてくださいと言われた。
拒否することも出来ず、女装を勉強し始めた。
心のどこかではウキウキしていることも確かだった。
可愛くなる自分や女として責められる快楽にハマりつつある。
(ばかな!妻もいるのに、何を考えてるんだ)
この状況を変える方法を必死で考えていた。
ピンポン。呼び出しベルが鳴った。ビクリを体を震わせて、ドアを開けると飯田がいた。

「お邪魔します。ずいぶん綺麗に片付いてますね」
「ああ、まあ入れよ」
僕は飯田に対してどう振る舞っていいか分からなくなっていた。
今まで通りに部下と上司の関係がどうしても変な感じがする。
しかし、ではどういう風にすべきなのか。
「仕事でもされてたんですか?」
飯田はテーブルの上に置かれたノートパソコンを見ながら言った。
「いや、妻とスカイプで会話しててね」
「そうですか。ところで化粧は覚えましたか?」
「いや、ちょっと時間がなくて」
「じゃあ、僕がやりましょう」
「……わ、わかった」
それから飯田は僕に化粧を施した。
「こういうのはどこで覚えたんだ?」
「彼女のを見てたらだいたい分かりますよ。まぁ、男の顔に化粧するときは
ヒゲを隠したり、顔の凹凸を消したりするんで、
ちょっと普通のメイクとは違いますけどね。
でも、宮本さんはヒゲもないし、女顔だから薄いメイクで大丈夫ですよ」

「出来ました。どうですか?」
差し出された鏡を見ると、今まで見たことのない自分がいた。
女装クラブでママが施してくれた水商売の派手なメイクとは違い
薄いナチュラルメイクだった。
「綺麗」
思わず呟いてしまい、恥ずかしくなった。
しかし、これなら女性に見えなくもない。
「向こうでこれに着替えてきてください」
渡されたのは地味な色をしたワンピースだった。
それに着て、飯田の前に出る。彼は舐めるように全身を見た。
「最後にウィッグです。じゃあ、ちょっと出かけてみましょうか」
ウィッグをつけながら、飯田の提案に驚いた。
「いや、それはムリだよ。外にでるなんて」
「もう夜だし、大丈夫ですよ」
「け、けど」
「ほらほらこっちに来てください。靴も用意してますから」
飯田は僕の手を引いて、ドアを開けた。

女装で外出しても意外とばれなかった。
てっきり指をさして笑われると思っていたが、
通行人は無関心にすれ違っていく。
飯田の用意したヒールのせいで歩くスピードがいつもよりも遅いが
かえってそれが良かったのかもしれない。
「あの公園で一休みしましょうか」
飯田は自販機でジュースを買って僕に渡した。
「どうですか?意外とバレないもんでしょ」
「ああ、まあスリルがあったよ」
「僕みたいに身長が180cmあって色黒だったら、さすがにバレますけど
宮下さんみたいに小柄で色が白いと喋らない限りはわからないですって」
「あ、ありがとう」
そのとき飯田が顔を近づけ、唇を重ねてきた。
「綺麗だよ。カズミ」
キスもその言葉も拒むことが出来ず、
ただ少女のように顔を赤らめて、じっと硬くなってしまった。



小刻みに震えながらも、ゆっくりとアイラインを引いていく。
鏡を見て出来栄えを確認したら、次に何をするかをパソコンで確認。
画面にはネットで見つけた女装入門ページを表示させている。
手順通りにメイクを施す。同時に一体何をしているんだという気持ちもある。
口紅を塗ったときに、公園でキスをした場面が頭に蘇る。
男とキスをしたのに、気持ち悪さはなかった。
ひたすらドキドキして、まるで初めてキスをしたときのように胸が高なった。
メイクがすべて終わり、ウィッグをつける。
鏡の中にカズミが出てきた。

今日の午後、会社で飯田に耳打ちされた。
「夜、お邪魔します。カズミになって待っていてください」
今度は一体何をするつもりなのだろうか。
しかし、もうどこかで決着をつけないといけない。
このままズルズルとこの関係が続くのは良くない。
ブラウザを閉じると、優子と一緒に映った壁紙が出てきた。
やさしく微笑む優子に罪悪感を感じてしまう。
僕は決めた。今夜で終わりにしよう。

まもなく飯田がやってきた。
「もう一人でメイク出来るようになったんですね。可愛いな」
「飯田、もう終わりにしないか?
俺には妻もいるし、男同士でこんなことは間違ってるよ」
飯田は驚いたような顔をしたが、そうですよねと呟いた。
「なら、最後に一杯付き合ってくださいよ。良いワインを持ってきましたから」
もっとゴネるかと思ったが、意外とすんなりと事は運んだ。
「ああ、そうだな。せっかくここまでメイクしたんだから。ただし、外には出ないぞ」
飯田は笑顔で分かってますよというと、持ってきたワインをグラスに注いだ。
「乾杯」

「どうやってメイクしたんですか?」
「ネットで女装入門のページを見つけてね。それを見ながらやったんだ」
「ああ、なるほど。どのページです?」
僕はパソコンを開いて、ブラウザを表示させた。
「これだよ。手順はひと通り書いてある」
「へぇー」
ふと飯田のグラスを見ると、ワインの量があまり減ってないように見えた。
「おい、もっと飲めよ。せっかく君が」
不意に全身の力が抜けていき、次の言葉が出なくなった。
前にも似たような感覚が味わったような気がする。
次第に立っているのも辛くなり、その場に座り込んでしまった。
頭がぐるぐると回り、意識が遠のいていく。
閉じていく視界に映る飯田は無表情でこちらを見ていた。
いつもの爽やかな笑顔とは程遠い、冷たい目をしている。
まさかクスリ…?
と思ったときに僕の意識はすでに事切れていた。

目を覚ますと、視界が真っ暗になっていた。
どこか別の場所に連れて行かれたかと思ったが、
どうやらアイマスクをつけられたみたいだ。
椅子に座らされている。体を動かそうとしたが、
手足をロープのようなもので縛られている。
感触的に服は脱がされ、下着だけの格好のようだ。
「気づきました?」
「こ、これは一体どういうつもりだ」
「僕がこんなに愛しているのに、
カズミは全然気づいてくれないんだ」
肩に手が置かれる。その瞬間、体中に震えが走った。
「男同士なんて間違ってるなんて言いましたよね。
それは違いますよ。だって、カズミはいまから女になるんだから」
そう言って飯田は僕の体を触ってきた。うなじ、背中、腰、ふともも。
「あっ…ああ」
声が漏れる。ただ触られているだけなのに、体中が熱くなっていく。
やがて胸の辺りを集中的に責め出した。
もうそのときには手のことしか考えられなくなっていた。
「ああ、だめ。いい、いああ」
手は下半身に伸ばされていく。ショーツの上からなぞられると
全身に電流が走ったように感じた。
「あっぁぁん」
「こんなに濡れてますよ」
飯田は指で僕の亀頭を弄り始めた。そこにだんだんと感覚が集まり、
射精しそうになったとき、指の動きが止まった。
熱が消え去ると、また指の動きが再開される。
飯田は僕の下半身を熟知したかのように、その動きを繰り返した。
イキたいのにイケない、もどかしさで頭が一杯になる。

「は、早く。イカせてくれ」
我慢出来ずに声を出した。
「そんな言い方だめですよ。カズミは女の子なんだから、もっと可愛く言ってください」
「う…お、お願い。イカセてくださいぃ」
精一杯の裏声を出した。
「どこを触って欲しいんだ」
「チンポを」
「カズミは女の子だ。チンポなんてついてないだろ?これはクリトリスだ」
自分のペニスをクリトリスを呼ばれることは男にとって最大の屈辱だが、
そんなことはもうどうでも良かった。ただ、快楽が欲しい。
飯田の手でイカセて欲しい。
「クリ…私のクリトリス触ってください」
「ふふ、本来なら奥さんの優子さんに使ってあげなきゃいけないんじゃないのか?」
優子の顔が頭に浮かんだが、雌の快楽がすぐさまに埋め尽くした。
彼女とのセックスよりも何百倍も気持ちいい。
「もっと俺に媚びろ。そうじゃなきゃやめちまうぞ!」
豹変した飯田の怒鳴り声で何かが壊れた。
「い、いや、あんな女になんか知らないんだから。
このクリトリスは飯田さんのモノなの。
アタシは飯田さんの女になるのぉ」
「ははは、ならイカせてやろう。絶頂を迎えて自分が誰のものか体に刻み込んでやる」
飯田の手の動きは激しさを増した。
貯まっていた精液はすぐに溢れだし、ビクビクと全身が痙攣した。
「い、イクううぅぅ」

飯田がアイマスクを外してくれた。
射精でぐったりとした僕はしばらく辺りの様子を伺う気力も沸かなかった。
ただ、目の前にはパソコンがあって、画面が光っていることだけはなんとなくわかった。
飯田は手足のロープを外してくれた。
意識がはっきりしてくると、女性の泣き声が聞こえてきた。
(…誰が泣いてるんだ)
この部屋には僕と飯田しかいないはずだ。
その声はパソコンから聞こえている。視線を上げると画面に優子がいた。
「こ、これは」
いつのまにかパソコンのスカイプが起動されていて、自分の痴態を見られていた。
「あなた、一体どういうことなの…」
泣きじゃくる優子に声をかけようとしたとき、飯田が僕の隣に立った。
ズボンを下し、パンツを脱ぐと、パンパンに勃起した男根が現れた。
「これでもっと気持よくさせてやるぞ。さぁ、選べチンポか妻か」
「ウソよね。あなたは男なのよ!ねえ、目を覚まして!」
もっと気持ちよくなる、その言葉がとても魅力的に思えた。
さっきまで与えられた快楽を上回る悦びが貰えるの?
ヒステリックに叫ぶ妻を見た時、もうどうでもよくなってしまった。

私は男根に舌を這わせて、亀頭に何度もキスをした。
妻の泣き声はよりひどくなったが、もう聞こえなかった。
「カズミ、自分が誰のモノになったかを宣言して、この女に離婚を言い渡せ!」
「私、宮下和樹は飯田様の逞しくて雄々しい男根に忠誠を誓いますぅ〜
これからはカズミとして生きていくので、夫をやめまーす!」
といって私はピースをした。もう先のことなんて考えることができない。
いまはたださらなる女の悦びを欲するだけの淫らな雌になるしかなかった。

<END>
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