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伊藤とラミン

 伊藤ショウタのスマホには三十枚ほどの自撮り画像があった。
 ピンク色のウィッグに魔法少女のコスプレをした自分。色々な角度から撮った写真が並んでいる。
 顔も大事だが、ミニスカートから見える足の際どさが悩むところであった。露骨すぎると品がないし、隠しすぎると味気ない。
 部屋の隅であーでもないこーでもないと頭を悩ませている。
 これという一枚を決めると、画像加工のアプリで修正を加える。全体にエフェクトを掛けて、肌の色を明るくする。目を不自然にならない程度に大きくした。完成した画像は元の画像とは同じようでいてまったく違っていた。
 伊藤は画面をSNSに切り替える。彼はラミンという名前でネット上で活動するコスプレアイドルだ。活動といっても自撮りを上げるくらいだが、その人気はなかなかのもの。アカウントのフォロワーは二千人を越えている。
 本名は隠しているが、男であることはオープンにしている。普段は地味で冴えないと言われているが、ひとたび化粧をすれば様々な顔を作ることができた。無個性の顔立ちが女装には向いていたのだ。
 画像をアップする。時刻は夜の12時を過ぎようとしていたが、すぐさま賞賛のコメントが並んだ。
「可愛い!」「抱きたい!」「保存しました!」「エロすぎ!!」
(部屋の中でこっそりと女装しているのに世界中の人が僕を見てくれているんだ)
 伊藤は独特の満足感に浸っていた。日常生活では目立たない大人しい自分が注目の的となっているのが嬉しくてたまらない。 
 聞くことが出来ない見るだけの歓声を充分に堪能したあと、伊藤は一人遊びの準備を始めた。
 女装の支度をしているときからすでに勃起していた。気持ちのほうは充分に高まっている。
「魔王め……こんなことをして恥ずかしくないのか……」
 伊藤は蚊の鳴くような声を出した。いま彼の目の前には魔法少女の宿敵である魔王ハデスが立っている。
 コスプレのネタ元である魔法少女に成りきっていた。魔法少女ラミンは戦いに敗れてしまい、敵に辱めを受けているのだ。
 まずは自分で乳首を弄る。爪を立てて指先を動かすと、甘い痺れが登ってくる。同時に魔王の分厚い手が自分の身体を撫で回す想像をする。
「あ…ああ……」
 魔法少女のまだ誰も触れたことのない柔らかな肌の上をゴツゴツした魔族の手が這い回る。
 キッチンやテーブルといった日常的な部屋の風景がだんだんと遠くなり、捕らえられた仲間の魔法少女と凶悪なモンスターが浮かび上がってくる。みんなが見ているところで魔王に犯されるのだ。
 伊藤はゾクゾクするような感覚を覚えた。
 指で尻穴をゆっくりとほぐす。細いアナルパールにローションをつけると、一つずつの感触を確かめるように挿れていく。
「だめ……恥ずかしい…」
 少女なのに股間には男性器がぶら下がっている。伊藤はこのキャラクターはフタナリという設定を勝手に付け加えていた。
「みんな……見ないで……」
 仲間の目の前でこんなみっともない姿を晒すなんて!気分を盛り上げるためにアナルパールからディルドに変えた。そこそこの大きさであるが、それくらいはすっぽりと入るくらいに穴は拡張されていた。
 太い一発は段違いの気持ちよさであった。
「ごめんなさい…ああ……ラミンはいやらしい女の子なの……」
 魔王の強力なピストンがプライドを粉々に破壊していく。正義の魔法少女が快楽に負けて雌として落ちていくのだ。
 頭に一気に血が登っていく気がした。伊藤はたまらずイチモツを握るとせっせとしごき始めた。するとすぐに絶頂を迎えて、大量のザーメンが飛び出た。
「はぁはぁ」
 波が引いていくと、なんてバカなことをしているんだと自己嫌悪に陥った。賢者タイムである。
 伊藤はコスプレをしてキャラクターになりきらなければ興奮しないというかなり特殊な性癖であった。
 付き合っている彼女がいたこともあったが長続きはしなかった。
 ティッシュで性器を拭うと、浴室に入った。シャワーでお尻のローションを洗い流す。
 自己嫌悪は幾分か引いており、なんなら次はどんな設定が良いだろうかと考えるまでに回復していた。
 



「ラミン、おはよう!昨日の画像可愛かったよ!今日も一日がんばろう!」

「ありがとうございます(●'v`)b吉田さんもガンバです!」

 伊藤はベッドの中でそれだけ打ち込むと、スマホを放り投げた。今日は講義が昼からなのでグッスリ寝ようと思っていたのに、起こされて気分が悪かった。
 この吉田という男は毎日内容のない挨拶メールをしてくる。普通ならすぐにブロックする。彼以外にもアカウントには一言挨拶や直球のお誘いがひっきりなしに送られてくる。
 男とわかって送っているのか、それとも男だから簡単にヤレると思っているのか。
 どちらにしろ性欲で頭が一杯になりまともなコミュニケーションが取れない男は無視していた。
 しかし、吉田だけは事情が違った。メールの内容は面白みはないが礼儀正しく下品なところはない。何より重要なのは、伊藤が公開している欲しいものリストを全部買ってくれたのだ。
 欲しいものリストとは名前の通りのリストである。大手ネット通販サイトで個人が公開できるリストであり、それを見た人がプレゼントを送ることができるシステムなのだ。知り合いの女装子やコスプレイヤーが欲しいものリストを公開していたので、伊藤も軽い気持ちで作ってみた。コスプレや化粧品など総額三十万円ほど。最初は本気で貰えるとは思ってなかった。
 ところがある日、大量の荷物が届いた。リストにあったものが送られてきたのだ。送り主は吉田であった。
 一人暮らしの学生である伊藤にとってはまさにパトロンであった。
 女装は何かとお金が掛かる。こいつだけは掴んでおかなくちゃ。
 伊藤はキャバ嬢になったような気分で吉田とメールのやり取りをしていた。
 二度寝に入る心地の良い瞬間に携帯が震えた。

「良かったら今度会いませんか?」


ホテルの一室。伊藤は緑色の髪に女子高生の制服を着ていた。
 男のときの姿は見られたくないので、さきにチェックインした。
 吉田との約束の時間が迫っていた。緊張はしているが、それをどこかで突き放してみているような気分だった。
 誘いのメールを受けたとき随分と悩んだ。自分はゲイではない。女性になりきることで興奮を覚える性癖なのだ。それはアニメキャラやコスプレなどの記号性の強い存在になるほどに強くなる。妄想の中でキャラクターに成りきって、淫靡な妄想に耽るのだ。
 その自慰行為をより楽しむためには、多少の経験も必要じゃないかと考えた。
 伊藤ショウタとして吉田に会う気などはない。しかし、ラミンというキャラクターでなら会ってもいいかもしれない。
 そうやって自分を納得させて、吉田と約束をした。条件としてアナルセックスはしない、フェラチオまでということを取り付けた。いくら別人になりきったところでお尻を掘られるのは嫌悪感があった。
 人前での女装はこれが初めてだった。三次元でも加工が出来たらいいのにとバカなことを考えてしまう。ラミンの可愛さというのは当たり前だが生来のものではない。絵を描くように作られたものだ。
 画像と 実物が違うことに吉田は怒ったりしないだろうか。
 伊藤がデリヘル嬢とそれを呼ぶ客の気持ちの両方を味わっていると、ドアをノックする音がした。
 恐る恐るのぞき穴を覗く。真面目そうな中年男性が立っていた。
 一安心した。容姿があまりに酷いときはこの時点で断ろうと思っていた。格好いいわけではないが、人の良さそうな顔をしている。
「はじめましてラミンちゃん。吉田です」
「ら、ラミンです。よろしくおねがいします」
 いま伊藤ショウタではなくて、ネットアイドルのラミンなのだと思うと、不思議な感覚があった。画面の中の存在がこうやって息をして立っている。そして、それを他人に見られている。
「いや、スゴイ可愛いよ。画像以上だね」
吉田は怒ってはいない。むしろ喜んでいる。とりあえず合格というところだろうか。
 吉田の身長は180cmあって、そこそこ太っていた。前に立たれると圧迫感がある。チェックのシャツにジーンズという格好で、髪型は床屋さんで切ってきましたというような野暮ったさがあった。
「ありがとうございます……」
 伊藤は何を話せばいいか分からなくなった。
「あっ、さきに渡しておくね」
 吉田は封筒を差し出した。手に取るとそれなりの感触がある。アナルセックスをしないという条件以外にもお小遣いを貰うことを取り決めていた。
 今更ながらにまるで売春じゃないかと思ったが、罪悪感はなかった。
「それにしても可愛いよ。女の子みたいだ」
 吉田はニコニコとしながら伊藤を見ている。
「あの、じゃあ始めますか?」
 気まずくなったので自分から切り出した。
「うん、うん。あの僕、台本を書いてきたんだ」
 数枚の紙を渡してきた。そこには設定と簡単な流れが書いてあった。これは事前に決めていたのだが、吉田はシチュエーションプレイが好きらしく、ラミンを主人公に色々とお話を書いていたのだ。さきほどお小遣いはある意味では出演料といえるのかもしれない。
「まず僕が教師でラミンちゃんは不良生徒。生活指導のために呼び出して、説教をしているうちに僕が我慢できなくなって、というお話なんだ」
「セリフはこの通りに読むんですか?」
「いや、だいたいこんな感じだから。雰囲気だけでいいよ」
 台本には約束どおりフェラチオまでの展開しか書いてなかった。
「あの、今日はお尻のほうは……」
「うん大丈夫。僕はラミンちゃん第一だから」
 伊藤は「今日は」と言ったが、永遠にするつもりはなかった。
「あの、一個お願いがあるんだけど、このパンティーを履いてほしいんだ。あ、上げるから返さなくていいよ」
 それはくまさんのイラストがプリントされたパンツであった。
「わ、分かりました」
 伊藤はシャワールームに入りパンツを着替えた。
(不思議な性癖だ。まぁ、人のことは言えないけど)
「ラミンちゃん〜!そこから出たらスタートしよう!僕も準備したいからちょっと待ってて」
「はーい」
 吉田の準備とはなんだろうと思いつつ、伊藤は洗面台の鏡に映る自分をじっと眺めていた。
 そこには不自然な髪色と瞳をした女子高生のような人が立っている。瞬きをすると同じように瞬きをした。
 丁寧に磨き上げられた綺麗な鏡だが伊藤にはどこか曇っているように見えた。 

「ラミンちゃん準備出来たから、出てきていいよー」
 伊藤がシャワールームから出ると、吉田はジャージ姿になっていた。
「こらラミン。また遅刻だぞ」
 吉田は驚くほどに演技が下手だった。
「うるせーよ!先公がよー」
 伊藤は少し恥ずかしさを覚えながらも、セリフを喋る。
(いまどき先公なんて言うやつはいねーよ)
「ここに座れ」
 用意された椅子に座る。吉田はその周りをぐるぐると歩き出した。
「いいかもっと勉強しないとないい大学には入れないぞ」
「別に関係ねーし」
「大学行かなかったら、ろ、ロクな就職ができないぞ」
「しらねーよ」
「お、俺はお前ことが憎くて言ってるんじゃない。か、可愛いから言ってるんだぞ」
 吉田の棒読みは相変わらずだったが、伊藤はなんだか楽しくなってきた。本当の不良女子高生になったような気分だ。
「どうでもいいだろ!!わたしことなんてよ!!」
「あっ、い、えええと、このさき出来る仕事なんて風俗嬢くらいしかないぞ」
(お前が考えた台本なんだから詰まるなよ)
「いいもん。風俗嬢になるもん」 
 台本の急展開に呆れつつも、いよいよそのときが近づいてると思った。
「お前みたいなやつがなれるか」
「なれるもん。男はみんな気持ちいいっていうもん」
「なに。じゃあ俺のをシャブッてみろ」
 吉田がズボンを脱いだ。大きくなった男性器にはしっかりとコンドームがハメられていた。ずいぶんと準備がいい。
 これまでディルドなどをシャブッたことのある伊藤ではあるが、やはり実物が目の前にあると戸惑いを隠せない。
(すげー立ってるじゃねーか)
「どうした!早くしろ!」
 このセリフだけは吉田の感情が篭っているような響きがあった。
 嘘くさい寸劇の中でペニスだけが本物だった。その存在感が心にブレーキを掛ける。遊びとはいえここを越えて良いのだろうか。けど、いま自分はラミンなのだ。そう思い込むとすっと心が楽になったような気がした。
 伊藤はモノを口に含んだ。ついにやってしまったという感情はなかった。ただ、生暖かいゴムの味だけがあった。とりあえず舌を動かしてみた。
「おふぅ、気持ちいいぞ」
(本当かよ)
 伊藤はこれまでの自分がされた経験を振り返り、色々と試してみた。すると吉田はあっという間に発射してしまった。
 驚いて口を外すと、男性器はビクビクと震えており、コンドームの先端は白く濁っていた。
 初めてのフェラチオは意外にあっさりしたものだった。
「す、すごい。最後は演技を忘れていたよ。ラミンちゃんはおしゃぶり上手だね」
 伊藤は早くうがいがしたくてたまらなかった。


吉田は一ヶ月にニ回のペースで伊藤を誘った。毎週、同じ曜日の同じ時間帯にメールが届く。
 OL、幼稚園児、悪魔など会うたびに違うコスプレを渡された。それぞれに異なる台本が用意されていたが展開はいつも変わらなかった。
 最初は新鮮さがあったし、一人遊びでやる妄想のクオリティも高くなったので楽しかった。ところが、数をこなしていくうちに飽きてきた。アルバイトのように感じてしまい、面倒くさくなってきたのだ。
 しかし、吉田がフェラ以上の要求をしてきたら断るということは伊藤の中では変わらなかった。


 部屋は少し汗ばむくらいの温度だった。
 暖房が壊れて強弱の設定が出来なくなっている。フロントに頼んで部屋を取り替えてもらうことも出来たのだが、すでに変身を終えていて、その状態で室外に出るのは難しかった。
 円形のクィーンサイズのベッドが部屋の中央に置かれ、その周囲は赤色の壁紙で囲まれている。
いかにもラブホテルといった室内にメイド姿の伊藤が立っていた。
 黒と白のミニスカートメイド服、青色の長い髪の上には猫耳のカチューシャが乗っている。
「ラミン、こっちへ来なさい」
 吉田はベッドに座っていた。 
「はい、ご主人様」
 女声も慣れてきた。
「疲れたから、肩を揉んでくれ」
 今日は吉田が主人で、伊藤がメイドという設定だ。
 肉付きのいい背中をやさしくマッサージし始める。
「ご主人様〜、お背中がコリコリですねぇ」
「気持ちいいよ。肩モミが上手だ」
 吉田の手は伊藤の太ももに置かれている。撫で回すわけでもなくただ置いている。
「ああ、もう我慢できない」
 吉田の手がスカートの中に入っていき、膨らんだパンティーの形を楽しみ始めた。
「ああん、だめですぅ。ご主人様ぁー」
 色々な衣装でプレイを重ねてきたが、このパターンが多い。吉田が伊藤のペニクリを弄り、ひとしきり触ったあとにフェラのお返しをする。
「ラミン、きみのせいだよ。僕もあそこはこんなことになってんだ」
吉田がズボンを脱ぐと、完全にいきり立った男根が飛び出た。
「ご主人様のおちんぽ硬くなってる…」
 ここで一瞬間が開いた。吉田ははっと気づいたかのようにベッドサイドのテーブルからゴムを取り出して、自分のに被せた。
 伊藤はそれを待ってから続きを始めた。
「お口で奉仕してあげます」
 パクリと咥えて、レロレロと舐め回す。舌がその形を覚えているほどに繰り返された行為である。
 だんだんと顎が疲れてきて、おざなりのフェラチオになっていく。
 一通り舐めたあと休憩のために口を外した。
「ね、ねぇラミン……僕のモノを君の中に挿れたいんだけど」
 吉田の視線は伊藤を顔の辺りを彷徨っていた。ときどき奥の壁に目をやったかと思うと、いきなり伊藤の手に視線を落としたりする。
「えっ、いや、それは駄目ですよ。最初に約束したじゃないですか?」
 伊藤は作り込んだ女声を引っ込めて、普段の声で答えた。
(なんで急にそんなこと言うんだよ)
「いつもフェラをして僕がイッて終わりじゃないか。ラミンちゃんも貯まってるんじゃないのかなと思って」
「そんな心配はいりません」
(もうこいつとは終わりだな)
 どんな衣装を着ても、フェラチオまでというのがこれまでの約束だった。
「◯◯大学、◯◯学部、伊藤ショウタ」
 吉田がボソリと呟いた。
 伊藤は驚きのあまり気が遠くなった。なぜ本名を知っているのか。
「最初に会った時から知ってるんだよ。君がパンティーを履き替えたときに、鞄を漁って学生証を見つけたんだ。なかなか良いところに通ってるんだね」
「お、脅すつもりか」
「怖い顔しないでよ。君はラミンなんだ。ねぇ、一度で良いんだ。ケツマンコを掘らせてくれよ」
「で、でも。なんの準備もしてないし……」
「そんなの関係ないよ」
 吉田は伊藤をベッドに押し倒した。酸っぱい汗の匂いと荒い鼻息が降り注ぐ。大きな岩が押しつぶされるようで息が苦しくなる。必死で抵抗しようとしても圧倒的な力で抑え込まれた。
 ビリビリとスカートが破ける音が聴こえる。
「新しいのを買ってあげるから」
 無邪気で乱暴な子どもだった。メイド服があっという間に剥がされていく。
「じっとしてろ!!」
 吉田は暴れる伊藤の頬を殴った。痛みは思考を一瞬だけ停止させて、次に恐怖を運んできた。
「おまえは僕の言うことを聞いていたらいいんだ」
 普段の吉田の顔ではなかった。欲望に取り憑かれた一匹の雄だった。
 いつのまにか下着すら剥ぎ取られ、ラミンは全裸となっていた。
 お尻に吉田の先端の感触が走った。くると瞬間には痛みが全身を貫いていた。
「あ、ああ、がはぁ」
 声にならない声が喉から登ってくる。
「おお、キツいね。ラミンの処女マンコをもらったよ」
 
 次第に穴が馴染んでいき、吉田は腰を降り始める。
「こんなものも取りなよ」
「や、やめて」
 吉田は伊藤の青色のウィッグを取った。
 もはや身体にラミンという要素は何一つ残っていなかった。
 いま伊藤ショウタという男が吉田という男に犯されている。どうしようもない現実が肉体の感度を伴い、突きつけられている。
 痛みは紛れてきた。身体の中に入り込んだ欲望は内蔵や呼吸すらも支配しそうな勢いがあった。
 ホモの行為だ。粘り着くような不快感を感じながら、頭の奥では小さな花火がチカチカと光っている。
 一定のリズムでぶつけられる欲望は思考を狂わせ、伊藤の男の心を崩していく。
 全身を走り回るのは快楽と呼べるほどに確かなものではなかった。
「イク!!イクよ!ラミン!!」
 男根が大きく唸りを上げる。伊藤の身体の中で爆発を起こしたように震えて、熱を持った精子を吐き出した。
 ゴムをつけているので中には入ってこない。しかし、伊藤は妊娠ということをはっきりと考えてしまった。
 犯されたこともショックだが、そんな風に思ってしまった自分に対して驚いた。なにか取り返しのつかないものが目覚めたようなそんな気持ちだった。


 あれから二週間が過ぎた。吉田からは連絡はない。
 最初はもう二度と会わないと決めたのだが、ときどき穴が疼くことが合った。
 平凡な毎日の中でどうしようもなく欲してしまう自分に気づいてしまった。
 身体と心に刻み込まれた雄の性が彼を決定的に変えてしまったようだ。

 スマートフォンを開き、吉田に向けてメッセージを送った。
 「アイタイ」

END
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