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童貞の僕が大学のサークルで処女を奪われた話

 僕はこれまで教室の隅っこにいるようなタイプだった。
 彼女いない歴=年齢。
 でも、変わる。
 この大学生活の中で彼女を作り、童貞を卒業する。
 しかし、上手くいかない。
 入学して周りはどんどん仲良くなっているのに、その輪に入れずにいた。
 話しかけてくれる人もいたが、会話が上手く続かない。
 早々に学校へ行くのが億劫になった。
 けど、辞めたところで何も出来ないのは分かっていた。


 桜の花びらが舞っている。
 昼時だった。自意識過剰なのは分かっているが食堂に入れない。
 空腹に耐えながらベンチに座り、携帯電話の画面を眺める。
「ねえ!!きみ!ちょっといいかな」
 突然の大声に驚く。顔を上げると、日焼けした金髪の男性が立っていた。
 笑顔だが体格がゴツいので威圧感がある。
「は、はい」
 久しぶりに声を出したので口がもたつく。
「私たち、イベントサークルのファゴットっていうの」
 男性の横にいた女性がチラシを渡してくれた。
 美人。思わず見惚れてしまいそうになり、慌ててチラシを受け取る。
「私は山下っていいます。こっちはサークル代表、高木ね」
「よろしくねー!!」
 山下さんは僕の隣に座った。女の匂いが鼻に入ってくる。
「飲み会やDJイベントをやったりしてるんだけど興味ある?」
「ええ…まぁ…」
 僕は男子校出身。
 女兄弟もいないため、女の子のイメージは小学生で止まっていた。
 だから「大人の女」とはまともに目を合わせられない。
「みんなに大学生活を楽しんでもらいたいと思ってやってんだよね。ぼっちで四年間はキツいでしょ。単位も取れないし、就活は苦労するよー」
 高木さんは僕を見透かしたような言葉をぶつけてきた。
 そりゃ分かってるが、ちょっと派手なような気がする。
「今度、新歓やるからよかったら来てみて。お金は要らないし、向いてないなと思ったら帰ってもいいよ」
 山下さんが顔を近づけてくる。興奮していると思われたら嫌なので息を止めた。
「せっかく大学生になったんだから、違う自分になってみない?」
 大きな瞳で見つめられ、頷くしか出来なかった。


 新歓は個室の居酒屋で行われた。
 こんなところでと驚いたが、飲み会自体が初めてなので案外こういうものかもしれない。
「よー!来てくれたんだな!こっちに座って」
 高木さんがいた。
「ど、ども」
「いやー、元気してるぅ!!」
「は、はい元気です。……こ、個室なんですね」
「俺ら騒いじゃうから、周りのお客さんの迷惑になるでしょ。それにここ防音だからカラオケも出来るんだぜ!」
「す、すごいっすね」
 辺りを見回すと、二十人ほどが席についていた。
 新歓ということは一回生が多いはずだけど、みんな年上に見えた。
 それに屈強な男ばっかりでアメフトサークルの飲み会のようだった。
「こんばんわ!来てくれて嬉しいわ」
 山下さんが隣に座ってくれた。安心と緊張が同時に立ち上がる。
「ど、ども。せっかく誘ってもらったんで」
「すごいよー。勇気出したんだね」
「いや、そ、それほどでもないんですけど、ひひひ」
 頬が引きつる。また息を止めそうになる。
「あなたのこと見ていると昔の自分を思い出すの」
「昔の…?」
「私も入学したころは友達がいなくていつもひとりぼっちだったの。それがこのサークルと出会ったおかげで素晴らしい経験と仲間を手に入れて新しい自分になれたのよ。だから、あなたにもそんな風になってほしくて」
 彼女のキラキラと光る目が本当に綺麗だと思った。
「よし、じゃあ、そろそろ乾杯すっか!!」
 高木さんが声を上げると、一同が雄叫びを上げた。
「はい、あなたはこのジュースね」
 僕は渡されたグラスを掲げた。


 ぼやけた視界がハッキリとしたとき、
 目の前にあったのは巨大な男性器だった。
 裸の男性に取り囲まれている。
 起き上がろうとすると、凄い力でテーブルに押さえつけられた。
 顔だけ起こすと、全裸の高木さんが立っていた。
「気づいたか?」
「や、やめてください」
「なぁ、お前童貞だろ」
「ち、ちがいます」
「あんなにキョドって喋るやつがよく言うぜ」
 山下さんに助けを求めた。こんなこと彼女が許すわけがない。
 辺りを探ると、もう一つの輪が見えた。
 その中心で裸の山下さんが男に乗っかり腰を振っていた。
 股間には勃起したペニスが生えていた。
「山下さん……男だったの」
「おいおい、気付かなかったのかよ。あいつは綺麗だけど、どう見ても男だろ。どんだけ女を見たことねーんだよ」
 山下さんはこちらを見て微笑んだ。その両手は左右にいる男の性器を握っていた。
「あいつもお前みたいに入学したときは陰キャの地味なオタクだったけど、俺らのサークルに入って、いまじゃカマビッチなんだぜ」
 頭が追いつていかない。混乱しているとズボンが脱がされた。
「新品の包茎童貞ちんちんの登場〜」
 取り囲む男たちから歓声が上がった。
 彼らのペニスはみなズル剥けで、ドス黒い色をしている。
 僕のペニスは皮に埋もれ、真っ白だった。
 年は二、三しか変わらないのに、まるで大人と子どもくらい違うじゃないか。
「んじゃ、初フェラいただき」
 高木さんは僕の腰を力強く掴んで、ペニスを咥え込んだ。
「最初のフェラが男とはラッキーだな」
 掃除機で吸われるような強烈な感覚。
 僕は勃起してしまった。
 情けなさで死にたくなる。
「さすが童貞。すぐ固くなりやがる」
 皮が剥かれ敏感な亀頭を舌で突かれる。
 震えるような痛みと気持ちよさが登ってくる。
 我慢できなくなり、発射してしまった。
「はっや。マジかよ」
 男たちが笑った。羞恥心でおかしくなりそうだったが、
 射精の快楽は一人でやるときとは比べ物にならなかった。
 頭が真っ白になっていると、高木さんがキスをしてきた。
 精液の味と煙草の匂いが口内に入り込んでくる。
「ファーストキス、奪ってやったぜ」
 唇が触れるだけなのになんでこんなにも感じてしまうのか。
 男同士なのにどうして興奮してまうのか。
「おっ、発射したばかりなのに立ってきたな。やっぱ素質あったな」
 高木さんは僕の手を自分の股間に導いた。
 熱くなっていた。男性器を触ったのは始めてだった。
「うそ、なんで……」
 僕を見て興奮しているのか。周りの男たちも同じように勃起している。
 一体この人たちは何なんだ。どうしてこんなことをするんだ。
「おら、舐めろ」
 目の前に突きつけられる。小便の匂いが鼻につく。
「早くしろ!俺も舐めてやったろ!!おい、お前ら手伝え!!」
 周りの男たちが僕の口を無理やりに開かせた。
「歯立てたらどうなるか分かってんだろうな」
 チンポが入ってくる。塩っぱさと苦味。
 陰毛が鼻に当たる。苦しい。男の匂いで一杯になる。
 腰を動かし始めた。喉奥に迫ってくる。
 助けて欲しい。誰か。
「今日が初めてだから仕方ないけど、フェラはオカマの必修科目だからな。この単位を落としたら留年するぜ。けけけ」
 涙が溢れてきた。苦しさで心が締め付けられる。
「よしオカマの入試だな」
 口からチンポが引き抜かれた。
 吐き気を堪えながら息を整えていると、お尻の辺りにヒヤリとした感触が走った。
 うそ。それだけは。やめて。
「おい、お前らしっかり抑えておけよ」
 男たちはこれまでにない力で僕を押さえつけた。
「良かったな。童貞なのにロスト・バージンできるんだぜ」
「いやだ!やめてぇ!!」
 大声で必死に叫んだ。
 僕は山下さんを探した。
 彼女は二人の男に前後を挟まれる形で犯されていた。
 山下さんはどう見ても男だった。しかし、その喘ぎ声は女のように聞こえた。
「すぐに自分から求めてくるようになるぜ」
「たすけて、いや、いや!!」
 尻穴に熱を感じた。すべてがひっくり返るような痛み。
 僕はいつの間にか声を出すのを辞めていた。
 揺れる天井と見下ろす男たちの視線をただ呆然と見ていた。



 暖かな風が桜の花びらをすくい上げ、スカートを揺らした。
 なびく髪を押さえながら、太陽に目を細める。
「おい、あそこにいる奴。ちょうどいいんじぇねえの」
 一人でベンチに座る男の子。俯いてゲームをしている。
 地味で大人しそう。まさにうってつけ。
 高木さんと僕は彼の前に立った。
「ねえ、君。サークルに興味ない?」
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敗者の末路

 数万という視線が雨のように注がれている。
 階段を一段登るたびに奴の姿が見えてくる。
 闘技場に立つ。一礼して帯を締め直す。
 深呼吸して精神を整えた。
 スポットライトが眩しいので観客はよく見えない。
 今日の試合はテレビやネットで中継されている。
 オリンピックやワールドカップよりも注目されている。
 奴と向かい合う。背は俺よりも大きい。
 身体能力でいえば相手のほうが高いはずだ。
 しかし、格闘技はそれだけでは決まらない。
 技術、経験、そして精神が大事なのだ。
 絶対に勝つという信念こそが最大の武器だ。
 自分の国の武術が最強であることをこの場で証明してやる。
 レフリーが俺と奴との間に立った。
 簡単なルール説明が行われ、試合開始のコングが鳴る。
 まず相手と距離を取った。
 フットワークを使い左右に揺れながら撹乱させ、
 ここぞというときに踏み込む。
 身体が大きい奴にスピードはない。そこを突く。
 だが、奴は俺の予想を遥かに上回っていた。
 何かが動いたと思った瞬間には凄まじい風圧が来て
 腹にトラックがぶつかったような衝撃が走った。
 俺は何が起こったのか分からないまま気絶してしまった。




 ドン。身体に太鼓の音が響いた。
 奴は俺の尻を掴み直すと、腰をもう一度叩きつけた。

「ああ、すげー気持ちいい」

 動きは激しくなり、その度に頭の中では火花が散る。

「オラ!お前も楽しめよ!!」

 ピシャリ。俺の尻に奴の張り手が飛んだ。
 鋭い痛みだったが、その力の十分の一程度だ。
 それでも俺には充分すぎるほどの恐怖だった。
 昔だったら考えらない。それもこれも試合に負けたせいだった。
 あの日、奴の一撃で失神し、あろうことか糞尿を漏らしてしまった。
 国中の人間は一斉に手のひらを返して俺を攻撃した。
 非国民!軟弱者!国が負けたのはお前のせいだ!
 悔しいが必死に耐えた。たが、問題はそれだけではなかった。
 俺を倒した「奴」こそが本当の悪夢の始まりだった。

「なあオカマになれて嬉しいだろう」

 奴は俺の髪を引っ張り、耳元で怒鳴った。
 後背位なので腰が反ってキリキリと痛む。

「はい、男をやめてよかったですぅ」

 俺は裏声を使って媚びた声を出す。
 奴は変態だった。試合で負かした男を去勢して肉便器にするのが趣味なのだ。
 俺は玉を抜かれ、わけの分からない薬を飲まされた。
 筋肉はみるみる減っていき、全身に脂肪がついた。
 髪は強制的に伸ばされ、丸坊主から肩辺りまで届く髪型になった。
 しかし、それ以上の身体改造は行われなかった。
 奴は男っぽさが残っているほうが興奮するタイプなのだ。

「イクぞ!!!」

 ピストンが激しくなる。地響きのような振動が体全体を包む。
 そして、熱い精子が勢い良く放たれる。
 男根を引き抜かれると、ドロリとした精液が尻穴から溢れだした。

「ヘバッてないで今度は騎乗位だ。乗っかれ!」

 格闘技をやっていたころはどんな練習でも倒れたりしなかったが、
 奴とのセックスはすべてを消耗してしまうほどに激しかった。
 俺は息を切らしながら、奴に跨り尻穴の位置を調整する。
 もうすでにプライドなんてものはなくなったと思っていたが、
 この動きをするたびに底なし沼のような屈辱に落ちる気分になる。
 出したばかりなのに怒張はまったく収まっていない。
 腰を下ろしていくと、自然と声が漏れてしまう。

「あっ、あっ、ああ」

 すべてをくわえ込み、俺はゆっくりと腰を振る。
 ペニスはプルプルと震えながら密を垂れ流し、
 それが奴の盛り上がった腹筋の溝に溜まっていく。
 玉を抜かれたので射精することはもうない。
 俺から出るのは小便と快楽に酔いしれた証拠の液体だけだった。

「本物の女以上のエロい腰だ」

 奴は俺の腰周りを撫で回した。手つきは明らかに男が女にするそのものであった。

「ビチャビチャだな」

 指先でペニスを突かれる。尻穴とは違う種類の快感が登ってくる。

「チンポがますます小さくなってるな。
俺の親指くらいしかないんじゃねえのか」


 日に日に縮んでいる。薬のせいもあるのだろうが、実は元から大きいほうではなかった。

「やっぱオカマになって正解だな。こんなんじゃ女は満足しないからな!」

 ドン。奴は急に突き上げを始めた。目の前の景色が一気に歪みだす。

「お前が弱いくせにナマイキに俺に戦いを挑んでくるからからこうなるんだぜ」
「ああん、い、いい、キモチイイ」

 快楽に溺れそうな中で格闘技に人生を捧げた記憶が途切れながらに蘇ってくる。
 苦しい稽古、震えるような試合、そして勝利の喜び。
 戦うたびに自分が強くなっていくのが嬉しかった。

「雑魚はコソコソと生きてればいいのに
イキがって調子乗るから痛い目を見るんだ」

「だ、だめ、そ、そこは、いやん、ああぁん」

 俺は負けた。
 それまで積み上げてきたのは一体何だったんだと
 思わせるほどの圧倒的な力の差だった。

「へへ、まあ、ケツ穴の具合は良いから使ってやるよ。
お前の格闘家としての人生は終わったんだからよ」

「ひゃあ、はい、あぁ、はぁ、だめん」

 格闘家としての肉体は俺のチンポと同じように縮み上がって使い物にならなくなった。
 そして、心が変わってしまった。あの熱く燃えるような気持ちはどこかへ消えた。
 玉を抜かれ、薬を打たれ、ケツ穴を毎日犯されていくうちにだんだんと萎んでいくのだ。

「国に帰っても娼婦としてやっていけるように仕込んでやる」
「ううぅん、きもちいいよぉ、きもちいいよぉ」

 故郷のために戦った俺を皆は軽蔑している。
 あれだけ応援していたのに、全部が幻みたいにいなくなった。
 待っていたのは陰湿な虐めだった。

「オラオラ!!もう一回種付けしてやるよ!!」
「あ、あ、あ、あ、イクイクイク!!」

 衰えを知らない勢いで精子が再び俺の中に入ってくる。
 その瞬間だけ何もかもから開放された気分になる。
 人間の男ではなく、強い雄の性を受ける雌に成りきれるからだ。

「コラ。第三ラウンドだぞ。起き上がれこのカマ野郎!」

伊藤とラミン

 伊藤ショウタのスマホには三十枚ほどの自撮り画像があった。
 ピンク色のウィッグに魔法少女のコスプレをした自分。色々な角度から撮った写真が並んでいる。
 顔も大事だが、ミニスカートから見える足の際どさが悩むところであった。露骨すぎると品がないし、隠しすぎると味気ない。
 部屋の隅であーでもないこーでもないと頭を悩ませている。
 これという一枚を決めると、画像加工のアプリで修正を加える。全体にエフェクトを掛けて、肌の色を明るくする。目を不自然にならない程度に大きくした。完成した画像は元の画像とは同じようでいてまったく違っていた。
 伊藤は画面をSNSに切り替える。彼はラミンという名前でネット上で活動するコスプレアイドルだ。活動といっても自撮りを上げるくらいだが、その人気はなかなかのもの。アカウントのフォロワーは二千人を越えている。
 本名は隠しているが、男であることはオープンにしている。普段は地味で冴えないと言われているが、ひとたび化粧をすれば様々な顔を作ることができた。無個性の顔立ちが女装には向いていたのだ。
 画像をアップする。時刻は夜の12時を過ぎようとしていたが、すぐさま賞賛のコメントが並んだ。
「可愛い!」「抱きたい!」「保存しました!」「エロすぎ!!」
(部屋の中でこっそりと女装しているのに世界中の人が僕を見てくれているんだ)
 伊藤は独特の満足感に浸っていた。日常生活では目立たない大人しい自分が注目の的となっているのが嬉しくてたまらない。 
 聞くことが出来ない見るだけの歓声を充分に堪能したあと、伊藤は一人遊びの準備を始めた。
 女装の支度をしているときからすでに勃起していた。気持ちのほうは充分に高まっている。
「魔王め……こんなことをして恥ずかしくないのか……」
 伊藤は蚊の鳴くような声を出した。いま彼の目の前には魔法少女の宿敵である魔王ハデスが立っている。
 コスプレのネタ元である魔法少女に成りきっていた。魔法少女ラミンは戦いに敗れてしまい、敵に辱めを受けているのだ。
 まずは自分で乳首を弄る。爪を立てて指先を動かすと、甘い痺れが登ってくる。同時に魔王の分厚い手が自分の身体を撫で回す想像をする。
「あ…ああ……」
 魔法少女のまだ誰も触れたことのない柔らかな肌の上をゴツゴツした魔族の手が這い回る。
 キッチンやテーブルといった日常的な部屋の風景がだんだんと遠くなり、捕らえられた仲間の魔法少女と凶悪なモンスターが浮かび上がってくる。みんなが見ているところで魔王に犯されるのだ。
 伊藤はゾクゾクするような感覚を覚えた。
 指で尻穴をゆっくりとほぐす。細いアナルパールにローションをつけると、一つずつの感触を確かめるように挿れていく。
「だめ……恥ずかしい…」
 少女なのに股間には男性器がぶら下がっている。伊藤はこのキャラクターはフタナリという設定を勝手に付け加えていた。
「みんな……見ないで……」
 仲間の目の前でこんなみっともない姿を晒すなんて!気分を盛り上げるためにアナルパールからディルドに変えた。そこそこの大きさであるが、それくらいはすっぽりと入るくらいに穴は拡張されていた。
 太い一発は段違いの気持ちよさであった。
「ごめんなさい…ああ……ラミンはいやらしい女の子なの……」
 魔王の強力なピストンがプライドを粉々に破壊していく。正義の魔法少女が快楽に負けて雌として落ちていくのだ。
 頭に一気に血が登っていく気がした。伊藤はたまらずイチモツを握るとせっせとしごき始めた。するとすぐに絶頂を迎えて、大量のザーメンが飛び出た。
「はぁはぁ」
 波が引いていくと、なんてバカなことをしているんだと自己嫌悪に陥った。賢者タイムである。
 伊藤はコスプレをしてキャラクターになりきらなければ興奮しないというかなり特殊な性癖であった。
 付き合っている彼女がいたこともあったが長続きはしなかった。
 ティッシュで性器を拭うと、浴室に入った。シャワーでお尻のローションを洗い流す。
 自己嫌悪は幾分か引いており、なんなら次はどんな設定が良いだろうかと考えるまでに回復していた。
 



「ラミン、おはよう!昨日の画像可愛かったよ!今日も一日がんばろう!」

「ありがとうございます(●'v`)b吉田さんもガンバです!」

 伊藤はベッドの中でそれだけ打ち込むと、スマホを放り投げた。今日は講義が昼からなのでグッスリ寝ようと思っていたのに、起こされて気分が悪かった。
 この吉田という男は毎日内容のない挨拶メールをしてくる。普通ならすぐにブロックする。彼以外にもアカウントには一言挨拶や直球のお誘いがひっきりなしに送られてくる。
 男とわかって送っているのか、それとも男だから簡単にヤレると思っているのか。
 どちらにしろ性欲で頭が一杯になりまともなコミュニケーションが取れない男は無視していた。
 しかし、吉田だけは事情が違った。メールの内容は面白みはないが礼儀正しく下品なところはない。何より重要なのは、伊藤が公開している欲しいものリストを全部買ってくれたのだ。
 欲しいものリストとは名前の通りのリストである。大手ネット通販サイトで個人が公開できるリストであり、それを見た人がプレゼントを送ることができるシステムなのだ。知り合いの女装子やコスプレイヤーが欲しいものリストを公開していたので、伊藤も軽い気持ちで作ってみた。コスプレや化粧品など総額三十万円ほど。最初は本気で貰えるとは思ってなかった。
 ところがある日、大量の荷物が届いた。リストにあったものが送られてきたのだ。送り主は吉田であった。
 一人暮らしの学生である伊藤にとってはまさにパトロンであった。
 女装は何かとお金が掛かる。こいつだけは掴んでおかなくちゃ。
 伊藤はキャバ嬢になったような気分で吉田とメールのやり取りをしていた。
 二度寝に入る心地の良い瞬間に携帯が震えた。

「良かったら今度会いませんか?」


ホテルの一室。伊藤は緑色の髪に女子高生の制服を着ていた。
 男のときの姿は見られたくないので、さきにチェックインした。
 吉田との約束の時間が迫っていた。緊張はしているが、それをどこかで突き放してみているような気分だった。
 誘いのメールを受けたとき随分と悩んだ。自分はゲイではない。女性になりきることで興奮を覚える性癖なのだ。それはアニメキャラやコスプレなどの記号性の強い存在になるほどに強くなる。妄想の中でキャラクターに成りきって、淫靡な妄想に耽るのだ。
 その自慰行為をより楽しむためには、多少の経験も必要じゃないかと考えた。
 伊藤ショウタとして吉田に会う気などはない。しかし、ラミンというキャラクターでなら会ってもいいかもしれない。
 そうやって自分を納得させて、吉田と約束をした。条件としてアナルセックスはしない、フェラチオまでということを取り付けた。いくら別人になりきったところでお尻を掘られるのは嫌悪感があった。
 人前での女装はこれが初めてだった。三次元でも加工が出来たらいいのにとバカなことを考えてしまう。ラミンの可愛さというのは当たり前だが生来のものではない。絵を描くように作られたものだ。
 画像と 実物が違うことに吉田は怒ったりしないだろうか。
 伊藤がデリヘル嬢とそれを呼ぶ客の気持ちの両方を味わっていると、ドアをノックする音がした。
 恐る恐るのぞき穴を覗く。真面目そうな中年男性が立っていた。
 一安心した。容姿があまりに酷いときはこの時点で断ろうと思っていた。格好いいわけではないが、人の良さそうな顔をしている。
「はじめましてラミンちゃん。吉田です」
「ら、ラミンです。よろしくおねがいします」
 いま伊藤ショウタではなくて、ネットアイドルのラミンなのだと思うと、不思議な感覚があった。画面の中の存在がこうやって息をして立っている。そして、それを他人に見られている。
「いや、スゴイ可愛いよ。画像以上だね」
吉田は怒ってはいない。むしろ喜んでいる。とりあえず合格というところだろうか。
 吉田の身長は180cmあって、そこそこ太っていた。前に立たれると圧迫感がある。チェックのシャツにジーンズという格好で、髪型は床屋さんで切ってきましたというような野暮ったさがあった。
「ありがとうございます……」
 伊藤は何を話せばいいか分からなくなった。
「あっ、さきに渡しておくね」
 吉田は封筒を差し出した。手に取るとそれなりの感触がある。アナルセックスをしないという条件以外にもお小遣いを貰うことを取り決めていた。
 今更ながらにまるで売春じゃないかと思ったが、罪悪感はなかった。
「それにしても可愛いよ。女の子みたいだ」
 吉田はニコニコとしながら伊藤を見ている。
「あの、じゃあ始めますか?」
 気まずくなったので自分から切り出した。
「うん、うん。あの僕、台本を書いてきたんだ」
 数枚の紙を渡してきた。そこには設定と簡単な流れが書いてあった。これは事前に決めていたのだが、吉田はシチュエーションプレイが好きらしく、ラミンを主人公に色々とお話を書いていたのだ。さきほどお小遣いはある意味では出演料といえるのかもしれない。
「まず僕が教師でラミンちゃんは不良生徒。生活指導のために呼び出して、説教をしているうちに僕が我慢できなくなって、というお話なんだ」
「セリフはこの通りに読むんですか?」
「いや、だいたいこんな感じだから。雰囲気だけでいいよ」
 台本には約束どおりフェラチオまでの展開しか書いてなかった。
「あの、今日はお尻のほうは……」
「うん大丈夫。僕はラミンちゃん第一だから」
 伊藤は「今日は」と言ったが、永遠にするつもりはなかった。
「あの、一個お願いがあるんだけど、このパンティーを履いてほしいんだ。あ、上げるから返さなくていいよ」
 それはくまさんのイラストがプリントされたパンツであった。
「わ、分かりました」
 伊藤はシャワールームに入りパンツを着替えた。
(不思議な性癖だ。まぁ、人のことは言えないけど)
「ラミンちゃん〜!そこから出たらスタートしよう!僕も準備したいからちょっと待ってて」
「はーい」
 吉田の準備とはなんだろうと思いつつ、伊藤は洗面台の鏡に映る自分をじっと眺めていた。
 そこには不自然な髪色と瞳をした女子高生のような人が立っている。瞬きをすると同じように瞬きをした。
 丁寧に磨き上げられた綺麗な鏡だが伊藤にはどこか曇っているように見えた。 

「ラミンちゃん準備出来たから、出てきていいよー」
 伊藤がシャワールームから出ると、吉田はジャージ姿になっていた。
「こらラミン。また遅刻だぞ」
 吉田は驚くほどに演技が下手だった。
「うるせーよ!先公がよー」
 伊藤は少し恥ずかしさを覚えながらも、セリフを喋る。
(いまどき先公なんて言うやつはいねーよ)
「ここに座れ」
 用意された椅子に座る。吉田はその周りをぐるぐると歩き出した。
「いいかもっと勉強しないとないい大学には入れないぞ」
「別に関係ねーし」
「大学行かなかったら、ろ、ロクな就職ができないぞ」
「しらねーよ」
「お、俺はお前ことが憎くて言ってるんじゃない。か、可愛いから言ってるんだぞ」
 吉田の棒読みは相変わらずだったが、伊藤はなんだか楽しくなってきた。本当の不良女子高生になったような気分だ。
「どうでもいいだろ!!わたしことなんてよ!!」
「あっ、い、えええと、このさき出来る仕事なんて風俗嬢くらいしかないぞ」
(お前が考えた台本なんだから詰まるなよ)
「いいもん。風俗嬢になるもん」 
 台本の急展開に呆れつつも、いよいよそのときが近づいてると思った。
「お前みたいなやつがなれるか」
「なれるもん。男はみんな気持ちいいっていうもん」
「なに。じゃあ俺のをシャブッてみろ」
 吉田がズボンを脱いだ。大きくなった男性器にはしっかりとコンドームがハメられていた。ずいぶんと準備がいい。
 これまでディルドなどをシャブッたことのある伊藤ではあるが、やはり実物が目の前にあると戸惑いを隠せない。
(すげー立ってるじゃねーか)
「どうした!早くしろ!」
 このセリフだけは吉田の感情が篭っているような響きがあった。
 嘘くさい寸劇の中でペニスだけが本物だった。その存在感が心にブレーキを掛ける。遊びとはいえここを越えて良いのだろうか。けど、いま自分はラミンなのだ。そう思い込むとすっと心が楽になったような気がした。
 伊藤はモノを口に含んだ。ついにやってしまったという感情はなかった。ただ、生暖かいゴムの味だけがあった。とりあえず舌を動かしてみた。
「おふぅ、気持ちいいぞ」
(本当かよ)
 伊藤はこれまでの自分がされた経験を振り返り、色々と試してみた。すると吉田はあっという間に発射してしまった。
 驚いて口を外すと、男性器はビクビクと震えており、コンドームの先端は白く濁っていた。
 初めてのフェラチオは意外にあっさりしたものだった。
「す、すごい。最後は演技を忘れていたよ。ラミンちゃんはおしゃぶり上手だね」
 伊藤は早くうがいがしたくてたまらなかった。


吉田は一ヶ月にニ回のペースで伊藤を誘った。毎週、同じ曜日の同じ時間帯にメールが届く。
 OL、幼稚園児、悪魔など会うたびに違うコスプレを渡された。それぞれに異なる台本が用意されていたが展開はいつも変わらなかった。
 最初は新鮮さがあったし、一人遊びでやる妄想のクオリティも高くなったので楽しかった。ところが、数をこなしていくうちに飽きてきた。アルバイトのように感じてしまい、面倒くさくなってきたのだ。
 しかし、吉田がフェラ以上の要求をしてきたら断るということは伊藤の中では変わらなかった。


 部屋は少し汗ばむくらいの温度だった。
 暖房が壊れて強弱の設定が出来なくなっている。フロントに頼んで部屋を取り替えてもらうことも出来たのだが、すでに変身を終えていて、その状態で室外に出るのは難しかった。
 円形のクィーンサイズのベッドが部屋の中央に置かれ、その周囲は赤色の壁紙で囲まれている。
いかにもラブホテルといった室内にメイド姿の伊藤が立っていた。
 黒と白のミニスカートメイド服、青色の長い髪の上には猫耳のカチューシャが乗っている。
「ラミン、こっちへ来なさい」
 吉田はベッドに座っていた。 
「はい、ご主人様」
 女声も慣れてきた。
「疲れたから、肩を揉んでくれ」
 今日は吉田が主人で、伊藤がメイドという設定だ。
 肉付きのいい背中をやさしくマッサージし始める。
「ご主人様〜、お背中がコリコリですねぇ」
「気持ちいいよ。肩モミが上手だ」
 吉田の手は伊藤の太ももに置かれている。撫で回すわけでもなくただ置いている。
「ああ、もう我慢できない」
 吉田の手がスカートの中に入っていき、膨らんだパンティーの形を楽しみ始めた。
「ああん、だめですぅ。ご主人様ぁー」
 色々な衣装でプレイを重ねてきたが、このパターンが多い。吉田が伊藤のペニクリを弄り、ひとしきり触ったあとにフェラのお返しをする。
「ラミン、きみのせいだよ。僕もあそこはこんなことになってんだ」
吉田がズボンを脱ぐと、完全にいきり立った男根が飛び出た。
「ご主人様のおちんぽ硬くなってる…」
 ここで一瞬間が開いた。吉田ははっと気づいたかのようにベッドサイドのテーブルからゴムを取り出して、自分のに被せた。
 伊藤はそれを待ってから続きを始めた。
「お口で奉仕してあげます」
 パクリと咥えて、レロレロと舐め回す。舌がその形を覚えているほどに繰り返された行為である。
 だんだんと顎が疲れてきて、おざなりのフェラチオになっていく。
 一通り舐めたあと休憩のために口を外した。
「ね、ねぇラミン……僕のモノを君の中に挿れたいんだけど」
 吉田の視線は伊藤を顔の辺りを彷徨っていた。ときどき奥の壁に目をやったかと思うと、いきなり伊藤の手に視線を落としたりする。
「えっ、いや、それは駄目ですよ。最初に約束したじゃないですか?」
 伊藤は作り込んだ女声を引っ込めて、普段の声で答えた。
(なんで急にそんなこと言うんだよ)
「いつもフェラをして僕がイッて終わりじゃないか。ラミンちゃんも貯まってるんじゃないのかなと思って」
「そんな心配はいりません」
(もうこいつとは終わりだな)
 どんな衣装を着ても、フェラチオまでというのがこれまでの約束だった。
「◯◯大学、◯◯学部、伊藤ショウタ」
 吉田がボソリと呟いた。
 伊藤は驚きのあまり気が遠くなった。なぜ本名を知っているのか。
「最初に会った時から知ってるんだよ。君がパンティーを履き替えたときに、鞄を漁って学生証を見つけたんだ。なかなか良いところに通ってるんだね」
「お、脅すつもりか」
「怖い顔しないでよ。君はラミンなんだ。ねぇ、一度で良いんだ。ケツマンコを掘らせてくれよ」
「で、でも。なんの準備もしてないし……」
「そんなの関係ないよ」
 吉田は伊藤をベッドに押し倒した。酸っぱい汗の匂いと荒い鼻息が降り注ぐ。大きな岩が押しつぶされるようで息が苦しくなる。必死で抵抗しようとしても圧倒的な力で抑え込まれた。
 ビリビリとスカートが破ける音が聴こえる。
「新しいのを買ってあげるから」
 無邪気で乱暴な子どもだった。メイド服があっという間に剥がされていく。
「じっとしてろ!!」
 吉田は暴れる伊藤の頬を殴った。痛みは思考を一瞬だけ停止させて、次に恐怖を運んできた。
「おまえは僕の言うことを聞いていたらいいんだ」
 普段の吉田の顔ではなかった。欲望に取り憑かれた一匹の雄だった。
 いつのまにか下着すら剥ぎ取られ、ラミンは全裸となっていた。
 お尻に吉田の先端の感触が走った。くると瞬間には痛みが全身を貫いていた。
「あ、ああ、がはぁ」
 声にならない声が喉から登ってくる。
「おお、キツいね。ラミンの処女マンコをもらったよ」
 
 次第に穴が馴染んでいき、吉田は腰を降り始める。
「こんなものも取りなよ」
「や、やめて」
 吉田は伊藤の青色のウィッグを取った。
 もはや身体にラミンという要素は何一つ残っていなかった。
 いま伊藤ショウタという男が吉田という男に犯されている。どうしようもない現実が肉体の感度を伴い、突きつけられている。
 痛みは紛れてきた。身体の中に入り込んだ欲望は内蔵や呼吸すらも支配しそうな勢いがあった。
 ホモの行為だ。粘り着くような不快感を感じながら、頭の奥では小さな花火がチカチカと光っている。
 一定のリズムでぶつけられる欲望は思考を狂わせ、伊藤の男の心を崩していく。
 全身を走り回るのは快楽と呼べるほどに確かなものではなかった。
「イク!!イクよ!ラミン!!」
 男根が大きく唸りを上げる。伊藤の身体の中で爆発を起こしたように震えて、熱を持った精子を吐き出した。
 ゴムをつけているので中には入ってこない。しかし、伊藤は妊娠ということをはっきりと考えてしまった。
 犯されたこともショックだが、そんな風に思ってしまった自分に対して驚いた。なにか取り返しのつかないものが目覚めたようなそんな気持ちだった。


 あれから二週間が過ぎた。吉田からは連絡はない。
 最初はもう二度と会わないと決めたのだが、ときどき穴が疼くことが合った。
 平凡な毎日の中でどうしようもなく欲してしまう自分に気づいてしまった。
 身体と心に刻み込まれた雄の性が彼を決定的に変えてしまったようだ。

 スマートフォンを開き、吉田に向けてメッセージを送った。
 「アイタイ」

END

宮刑会

 円卓の朱色には吸い込まれそうな美しさがあった。
 私を含め七人が席に着いている。
 中央には龍を象った橙色の置物がある。工藤さんいわく人参で出来ているそうだ。その周りにフカヒレ、北京タッグ、アワビなどの高級食材が並べられている。二十数年生きていて食べたことも見たこともない料理が卓を埋め尽くすように置かれている。明らかに人数よりも多すぎる量なのだが、半分以上が綺麗に平らげられていた。
 そのほどんとはこの宴の主催者である王さんの胃袋に収まっている。光沢のある坊主頭、目は細く、肉のついたアゴと腹周り。五十歳を越えているらしいが、異様なまでに艶のある肌をしていた。
 私の位置を六時とするならば、王さんは十二時、つまり正面に座っている。彼の横には二人の美女が座っている。どちらもアジア系の顔立ちで長い黒髪に白いドレスを着ていた。そして非人間的なまでに整ったプロポーションをしていた。
 三時の辺り、右側には大河という三十代の男性が座っていた。派手な金髪だが、高級そうなスーツを見事に着こなしている。目つきが鋭く、堅気の人間ではない雰囲気があった。そして、彼の隣にはウェーブの掛かった茶色の長い髪に肩を露出し身体の線を強調する黒いチューブトップを着て、下はデニムのホットパンツで足を大胆に露出した男がいた。
 名前をアケミというらしい。どこからどうみても男だった。それも四十は越えている中年だ。しかし、腕や足には体毛の類は一切なかった。顔の化粧もケバいが、しっかりと仕上げられている。太い身体を器用と思えるほどにクネクネと動かしながら、料理を口に運んでいた。
 九時の辺り、左側には工藤さんが座っている。豪華な料理に臆することなく、食事や他の人たちとの会話を楽しんでいる。時々、私においしい食べ方やマナーを耳打ちしてくれる。工藤さんは何歳なのだろうか。それなりに年は重ねているが、逞しい身体をしているし、夜なんて三、四回は平気で出してくれる。おまけに体力だけじゃなくて、テクニックも一流。すべてが終わったころの私はもう完全に放心状態になって朝を迎えることになる。
「さやかさん、料理は美味しいですか?」
 笑顔の王さんは七福神の恵比寿さんのようだ。
「ええ、とっても美味しいです」
 私と王さんはかなり距離があるので少し大きな声を出さないといけない。
「最近、工藤さんがこられないので寂しかったんですよ。久しぶりに来たと思ったらこんな若くて可愛い子を連れてくるなんて。なかなか隅におけませんな」
「はは、王さんには叶いませんよ」
 私と工藤さんが知り合ったのは三ヶ月前だ。とある女装系のイベントで声を掛けられたのがキッカケ。そのときの私はファッションとして女の子の格好を楽しむノンケだった。自分で言うのもなんだか小柄だし、そこそこ似合っていると思う。イベントでは純男、いわゆるチェイサーによく声を掛けらて、正直どの人も鬱陶しいだけだった。ところが、工藤さんは清潔感があって、会話も知的で面白かった。ついつい引き込まれてしまい、言葉巧みにって感じで最後まで持って行かれた。彼女もいたことあるし、男同士なんてと思っていたけど、工藤さんにはそんな壁を軽々と越えてしまえる魅力があった。
 今日は工藤さんに連れてこられた。王さんが経営する高級中国料理店の個室である。聞くところによると王さんは飲食店を世界中に何十店舗と経営しており、他にも都内に土地やビルを山のように持っているそうだ。
 この集まりは王さんが主催する会合とだけ聞かされていた。
「じゃあ、俺から話しましょうか」
 皿が下げられ、食後酒が運ばれてきた。そこで声を挙げたのは大河さんだった。
「ええ、お願いしますよ。ではみなさん、久しぶりの宮刑会の始まりです。乾杯!」
 王さんはグラスを高く上げた。薔薇のような赤ワインが妖しく揺れ動いた。

「こいつの本名は佐藤剛士。45歳で◯◯建設の課長」
 ◯◯建設といえば有名な大手ゼネコンだ。就職活動のときも周りの友達が何人も受けていた。佐藤剛士もといアケミはうっとりした様子で大河さんの話を聞いている。
「結婚もして、嫁と娘が一人。二人ともなかなかの美人でね。娘は父親に似てなくてよかったよ」
 アケミは「もう」といった風に頬を膨らませている。
「さて、ここからが本題。大企業で働いて家庭のある男がなぜオカマに堕ちたかというと」
 大河さんは間を置いて、ワインを一口含んだ。
「俺、キャバクラをいくつか経営してるんだけど、元々こいつはうちの常連だったんだ。とあるキャバ嬢にぞっこんでね。毎日のように通いつめてたよ。普段は小心者だけど酔うと気が大きくなるらしくて、その子をアフターに誘って、無理やりヤッちゃったんだよね。まぁ、そうなると裏の出番で、傷物にされたって脅しを掛けなきゃいけなくなるんだよ」
 大河さんはワインのお代わりを注文した。すでにかなり飲んでいるが顔は何も変わらず、口もしっかりと動いている。
「ここからは俺の話なんだけど、皆さん知っての通りに俺はバイで女装子が好きなんだ。あっ、でもさやかちゃんみたいな若い子じゃなくて、アケミみたいなオッサンね」
「もうオッサンいわないでぇん」
「こういう男丸出しの奴にギャルっぽい格好をさせるのがスゲー興奮するんだ。だから、俺は最初から目を付けてたっていうか、ずっと口実を探してたんだよね。そしたら上手いことはまり込んでくれて。まずは徹底的に暴力。それが仕事でもあるから、手加減なしでやり込むんだ。んで、ケツを掘る。そのときはまだ男のままで、毛とか凄かったけど、何度もヤルうちにトコロテンしやがってさ。もともと素質があったんだよ」
「いやん」
「あっ、ちなみにアケミって名前がこいつが入れ込んでたキャバ嬢から取ったんだよ。なかなかいいだろ。まぁ、あとは自分で化粧や女装できるようにして、全身脱毛をさせた。当たり前だけど全部こいつの金。そのときはまだ脅しながらやってたけど、半分くらいは楽しんでやってたよな」
「うん、そうだよー。なんかそれまではちょーツマラナイ毎日だったのに、大河ちゃんと出会ってから急に人生楽しくなってきたんだ」
 アケミの声は男のままだが、抑揚や言葉の使い方は頭が空っぽなギャルそのものだった。
「こういう真面目に生きてる小市民ほど溜め込んでるから、一回開放すればあとはすごい勢いで転がっていくもんさ。となると、こいつの嫁と娘がおかしいってなるわけ。女だから余計に感づきやすい。まぁ、面倒くさいことになるのはごめんだからやっちゃってね」
 私は息を飲んだ。
「まさか、殺しを」
 聞きたかったことを王さんが尋ねてくれた。
「いやまさか。旦那を仕込んだように、嫁と娘も雌に仕込ませてもらいましたよ。まぁ、俺の力だけじゃ無理なんで、その道の専門家に頼んでね。嫁は清楚な感じを気取ってたけど、相当に飢えてたみたいで、もうコロっと堕ちました。ずいぶんとセックスレスだったそうです。娘のほうは初心でね。大学生で何かスポーツをやってたよな?」
「マナは陸上をやってたよ」
 娘はマナというらしい。
「そのさわやかな健康美少女が最初は嫌がるわけ。おまけに処女だったからなかなか時間が掛かったよ。今まで一生懸命に作り上げてきた引き締まった身体が男たちに汚されて、だんだんと感じるようになっていって、否定しても否定しても追っつかなくなって、最後は堕ちる。まぁ、女なんてそんなもんですよ。でも、アケミよりも堪えてたから、父親よりも男らしいのかもしれないな」
 大河さんは自分の冗談に一人で笑っていた。
「家族全員乱交ショーとかやりましたよ。撮影して裏物として販売してますから、あとで皆さんに差し上げますね。まぁ、アケミが一番感じてて、嫁と娘が引いてましたもん」
「アケミさんはいまも◯◯建設に?」
 工藤さんが聞いた。
「いや、もう辞めさせました。仕事場にギャルの格好で行かせて、退職届とハメ撮り写真を上司に渡させました。私は男を辞めてギャルとして生きていきますって同僚や部下の前で言わせました。もう会社中がパニックになったみたいで。けど、アケミはスゲー興奮して、我慢汁ってグショグショになってるんですよ。あれはおかしかったな。あっ、そうそう、いまは俺が持っているニューハーフパブで働かせてます。嫁は熟女キャバクラ、娘は風俗っすね。こいつの稼ぎは全然だけど、あとの二人は才能があったみたいでかなり儲けてますね。まぁ、俺の話はこんなところでおしまいです。何か質問があったらどうぞ」
 王さんは拍手をした。嬉しくてたまらないといった表情をしている。
「素晴らしいお話でした。アケミさんはホルモンはしてるのですか?」
「いやさせてません。まぁ、この年でしてもあんまり変わるわけでもないし、それに俺の趣味に合わなくなるんですよ。このゴツいおっさんがビッチギャルみたいに振る舞うのが良いんですよね」
「すると改造は脱毛だけ?」
「そうっすね。こいつは二重にしたいとか、唇を厚くしたいとか言ってますけど、元の男丸出しのままにさせてます」
 私はただ圧倒されていた。現実感のない話だが、目の前にいるアケミのちぐはぐな格好が何よりの証拠だった。それに彼が大河という男に心底惚れ込んでいるのが痛いほど分かる。
 アケミの風貌には滑稽を通り越して痛みすら漂っている。しかし、当人はいたってこれが普通といった様子だし、何よりもしっかりとギャルになっていた。外見だけではない。喋り方や仕草、内面のすべてから男性性がなくなっている。
 まっとうに男として生きてきて、大切な家族がいるのに、ここまで人は変われるものなのだろうか。それとも女装にはそれほどの魔力が秘められているのだろうか。


「それでは次は私の番ですな。あっ、デザートを忘れてました。持ってこさせます」
 王さんは手元で何かを操作するような仕草を見せた。
「ご存知の通り、私の国は上り調子で、事業のほうもその恩恵に預かりどんどんと成長しております」
「いまのインバウンドは本当に凄いですよ」
 工藤さんが頷きながら言った。そういえばこの宮刑会では工藤さんも喋るんだろうか。
「王さんの国の人たちは俺にとっても良いお客さんです」
「大河さんとは良いお付き合いをさせてもらってます。ありがたいことです。我が家の家訓に商売において人の縁ほど大事なものはないというのがあります。そして、食と性の欲望は尽きることがない。だから儲かるとも。私はこの教えに従って事業を起こしました。まずは食です。世界中の美味しいモノを食べました。好き嫌いがないので何でも食べれます。おかげでこんなに立派な腹になってしまいましたが」
 王さんは妊婦のように膨らんだお腹をポンポンと叩いた。一同は笑ったが、王さんの両隣の女性の様子が少しおかしかった。
「私が見込んだ腕利きの料理人を集めて、様々なジャンルのレストランを開業しました。日本に関してはバブル崩壊のときに地価がグンと下がりましたから、そのときに一気に買い占めましたよ。あんなのは永遠には続かない、いつか絶対に値下がりすると踏んでましたからね。おかげでずいぶんと儲けさせていただきました。あと三代は遊んでも暮らせるだけの資産があります」
 私が生まれたときから日本は不景気だった。この国が好景気に湧いていただなんて想像もできない。格差がどんどん広がると言われているが、王さんのような人が富を独占するのだろうか。
「五十を越えたときに飲食に関する事業は後継者に任せました。そして、次は性と決めました。しかし、食とは違い性には好き嫌いがあるのです。それも私はずいぶんと偏食家でしてね」
 ウェイターがデザートを運んできた。私の前に置かれたのはバニラアイスの玉が二つ。ピンク色のソースと金箔が散りばめられている。他の人はフルーツが盛り合わせられた杏仁豆腐だった。
「お美しいさやかさんは特別メニューです。ヨーロッパの各地から材料を取り寄せて作りました。最高の一品です」
 王さんは満面の笑みで説明してくれた。
「えぇー、ずるいーわたしもほしいぃー」
「うるさい。黙ってろ!」
 駄々っ子のようなアケミは大河さんに叱られると拗ねたように下を向いた。
「ありがとうございます。いただきますね」
 私は優越感を感じながら、アイスを口に入れた。
 すぐに溶けるがその濃厚な甘みがいつまでも舌の上に残る。鼻から抜けていくバニラの香りが頭が溶けていき、もう死んでもいいと思えるくらいの幸福感に包まれた。
「はは、美味しいでしょう」
「……ええ、とっても。こんなの食べたことないです」
「さて、他のみなさんどうぞ食べてください。おい」
 王さんが左右の美女を立たせた。そのとき彼女らの前にデザートがないことに気づいた。
 二人はドレスのスカートを捲った。そこには親指ほどの陰茎があった。彼女らは男だったのだ。信じられなかった。顔も身体も女性そのものだったのに。
 それにしても、こんなに男性器が小さくなるのかと我が目を疑ってしまう。生まれたての赤ん坊のような大きさだった。
 顔を赤らめている。皆の前で露出しているのが恥ずかしいのかと思ったが様子が変だ。もじもじと腰を動かしながら、王さんのデザートに近づく。立ち小便をするように指で陰茎を摘み、狙いを定めるように動かす。
 王さんは手元で何かを動かした。微かに振動音のようなものが聴こえてくる。
 すると美女二人の先端から薄い灰色の液体がボタボタと溢れだした。カウパー液にしては色があり、精液にしては粘り気がなかった。
 王さんはその不思議な液体を杏仁豆腐に絡める、一口食べた。
「んー、まさしく美味。これは特別メニューなので皆さんにお出しすることはできないのが申し訳ない」
「いやソースなしでも充分においしいですよ」
 工藤さんは何事もないように喋っているが、私はパニックだった。あの二人が男で、そこから出た液体を王さんが食べる。理解を越えた出来事が次から次へと起こり、さきほどのアイスの美味しさがどこかへ消えてしまった。
「この子たちの尻に特別性のローターを仕込んであります。このスイッチで強弱がつけられます。こんな風に」
 王さんが手元にある小さな機械を動かすと、二人は身体を震わせ立っていられないという風に椅子に捕まった。
「食事中から少しずつ電流と振動を流していて、デザートがくるタイミングで発射できるように調節していたわけです」
 また機械を触ると、二人は幾分落ち着いた様子を見せた。しかし、まだ顔は赤いままだ。
「私の国では昔から肝臓が悪ければ肝臓を食べる、目が悪くなれば目を食べるという教えがあります。この子らには特殊なホルモンを打ってまして、女性化はしてますが、しっかりとした精子が入った精液を出せるようになっているのです。それを食べるということは種を食べる、すなわち生命力そのものを頂いているわけです。おかげで私はいつまでも若くいれる。お前らはもういいぞ」
 二人はフラフラとした足取りで部屋から出ていった。彼女たちはデザートのソースとしてずっと座っていたのか。
 私は王さんに得体の知れない不気味さを覚えた。人の良さそうな顔をしているが、欲望のためなら躊躇もせずに何でもするに違いない。
「私は普通の女には興味がないのです。好きなのは男、それも女のような男。この宮刑会を立ち上げたのも特殊な性癖を理解してくれる仲間が欲しかったのです」
 王さんはあっという間に杏仁豆腐を平らげた。
「性に関する事業を立ち上げる。しかし、普通の風俗ではつまらない。食と同様に私が良いと思ったものをお客様に提供したいのです。そこでニューハーフ風俗を作りました。さっきの子らはそこの従業員です」
「彼女らはどこの国出身ですか?」
 工藤さんも杏仁豆腐を完食していた。私は呆気に取られていてまだアイスが半分以上残っていた。高級なものだから溶けるのも遅いようだ。
「日本です。私のニューハーフ風俗は欧米の富裕層を顧客としています。そこではアジア系が人気。日本人が一番従順で向いています。私の国の人間などは気が強すぎてとても使い物にはなりません」
 王さんは豪快に笑った。
「セックスはもちろん、あらゆる変態プレイを出来るように調教しますし、また自分色に染められるようにあえて真っさらな状態で渡すオプションもあります。性だけではなく家事全般も研修を行いますから、メイドとしても使えます。そうしたら老いてもハウスキーパーとして生きていけますからな」
 突拍子もない話ながら、一本の筋は通っていた。王さんの力強い熱弁、二人の美女。おそらく私と年は変わらないはずだ。一体何がどうなってあんな姿になったのだろうか。


「人はどうやって集めてくるんですか?普通の風俗ならまだしもニューハーフってなるとどこも人手不足だって聞きますけど」
 大河さんが王さんに聞いた。
「そこなんです。牛や豚は家畜ですから何とでもなります、ところが人間となると扱いが厄介だ。だから、立ち上げたときは半分は道楽のつもりだったのです。限られたルートで人を集めて、小さくやっていこうと。ところがどこで聞きつけたのかたくさんの日本の若い男が応募してきたのです」
「えっ、志願者がいるんですか」
 私は驚きのあまりに声を出してしまった。
「ビックリでしょう。草食男子などという言葉が流行りましたが、実態はもっと進んでいるみたいですな」
 私もニューハーフに憧れることはある。綺麗になれたら楽しいだろうなと思う。でも、それは若いうちだけだ。年老いたら男とも女ともいえない生き物になってしまう。ましてやアケミのように普通の人生を捨てて、みっともない格好を晒すなんてとんでもない。女装はあくまで遊びなのだ。
「厳しく審査しても、かなり人数を取ることが出来ました。おかげでこの商売も軌道に乗りましたし、私もずいぶんと楽しんでます。大河さん、工藤さん。どうですか?あとでいい子を紹介しますよ」
「いえ、若い子は守備範囲外なんで」
「私もさやかがいますから」
 さやかがいますからだなんて、私は照れながらも嬉しかった。
 にしても、大河さんと王さんとくれば、次は工藤さんの番だ。けど話を持っているのだろうか。私と工藤さんとは普通の、といっても男と女装子の肉体関係しかない。そんなのはこれまでの話に比べたら何のインパクトもないはずだ。
「では、最後は僕ですね」
 工藤さんが立ち上がった。そして私の席の後ろに立った。
「彼女とは三ヶ月前にとあるイベントで知り合いました。見ての通りなかなかの逸材です」
 その声はいつも違って、どこか冷たさがあった。
「もともとはノンケの男だったんですが、私が女にしてやりました」
「さすが工藤さんだ」
「ありがとうございます。もうずいぶんと楽しんだので、次の段階に移るべく、この宮刑会に連れてきました」
 言葉がどんどんと遠くなっていく気がした。何を言っているか理解できない。これは自分が知っている優しい工藤さんではない。まるで別人のようだ。
 恐怖。頭の奥で誰かが逃げろと叫んでいる。たまらずに立ち上がろうとした瞬間に、その場に座り込んでしまった。
「あ、な、なん、で」
 どれだけ力を入れても、次の瞬間には抜けていく。酔っているわけではない。意識はハッキリしている。ただ、頭と身体が切り離されたようで、自由に動かすことが出来なくなっていた。
「アイスは美味しかったろ?」
 工藤さんが耳元で囁いた。あのアイスに何か薬が盛られていたのか。一体どうして。なんでそんなことをするの。
 身体を担がれて円卓の上に寝かされた。皆が興味深そうに私を覗き込んでくる。
 スカートとパンツを脱がされ、下半身が露わになった。隠そうとしても腕どころか指一本も動かすことが出来ない。
「私は口下手ですので、皆さんに次の段階へ進む儀式をお見せします」
 工藤さんは私の睾丸を掴むと、タコ糸のようなもので根元を縛り始めた。腹の底に鈍痛が響く。身体の自由は効かないが、痛みだけはしっかりとあった。
 冷たい刃の感触が走る。ナイフだろうか。絶望的な気持ちになった。後悔が津波のように押し寄せて、すべてを飲み込んでいった。これから自分に起こることを信じたくなかった。でも、いまの状況、そしてこれまで聞いてきた話からいっても、これは現実でしかなかった。
「さやかのサイズはなかなかのものでしょう」
 涙でぼやける視界の中で工藤さんの声が聴こえてきた。この人は悪魔に違いない。
「おお、立派な大きさをしてるな」
「ホントーだー、女の子の欲しがりそうな良い形してるわー」
 大河さんは私の竿をつまみ上げた。
 工藤さんがナイフの柄の部分で睾丸の下辺りをグリグリと押し込んできた。そこは彼によって開発された前立腺の場所であり、刺激されると快楽の記憶が一気に開かれてしまう。身体は男としての最大の恐怖を味わう一方で、女としての悦びの匂いを感じ取っていた。
「玉を取ると竿は縮むから、この大きさともお別れだよ」
「や、やめ、て」
 唇すら痺れてしまって、身体の中で自由になる部分はなくなってしまった。
「さやかの玉は王さんが食べるからね。この豪華な料理を出してくださったお礼だ」
「新鮮な睾丸を食べるのは久しぶりだ」
 王さんの弾んだ声が聞こえる。
「安心してくれ。医者を呼んであるから死ぬことはないよ」
 風船が破裂したような音が聞こえたと思ったときには、鋭い痛みが全身を貫いていた。一秒が永遠に思えるほど気が遠くなる。逃れることができない。もはや玉がなくなってもいいから早く終わらせてくれと願うばかりだった。
 ブチブチと何かが切れる音がして、股の感覚と痛みの質が変わった。もうなくなってしまったの……
「ほほー、これは上手い。実に上手い!!世界で一番おいしい!!」
 王さんの雄叫びが聞こえた。この位置からでは見えないが、私の男の証は食べられてしまった。
「今日から本当に僕とさやかの関係が始まるんだ。この宮刑会で話せる思い出をたくさん作ろうね」
 工藤さんは血で染まった赤い手で私の頬をやさしく撫でた。


END

塞がれた穴

二つの膨らみから桃色の秘部が見える。そこには私の性器が収まっている。
すっかりと縮み上がってしまったが、その存在感はやはり強い。
下着を歪な形にしながら自らを主張する。一体何を訴えているのだろうか。
生殖という君の役目は私が奪い取ったのに。
この視界と感触が好きだ。
偽物ではあるが長い髪の毛が揺れる感じや女性下着の締めつけ感。
すべてが私が「オンナ」であると感じさせてくれる。
でも、それだけではまだ半分。
シャワーから出てきた彼は腰にバスタオルを巻いていた。
彫りが深い整った顔立ち。鍛え上げられた筋肉には無数の血管が浮かび上がっている。
彼はベッドの上に立つと、下半身の「雄」を見せつけた。
まだ勃起はしていない。それでも私のものより倍以上はある大きさだ。
お尻の穴から少し下がったところにある蟻の門渡りがキュルキュルと震えた。
彼が私の下着に手を掛けて、ゆっくりと脱がしていく。親指ほどの竿が顔を出した。
有り余った皮のせいでイソギンチャクのように見える。
そこに巨大な茎が覆いかぶさってくる。肉食動物の捕食のような光景だった。
私の先端からは次第に密が出るようになった。彼の雄は完全に固くなっていた。
ヌチャヌチャとイヤらしい音を立てながら、互いのモノを擦り合わせる。
彼が私のモノを指で摘み、少しだけ引いて亀頭を露出させた。
空気に触れただけでも感じてしまうほどに敏感な部分に凶暴な雄が顔を合わせる。
淫らな液に沈む真っ赤な鈴口に彼の使い込まれた濃い茶色の亀頭がぶつかってきた。
腰がジンと痺れて、それが頭まで上がってくる。
僅かな痛みと圧倒的な快楽に脳みそがふやけそうになった。
彼は私の乳首を弄りながら、顔を近づけてくる。
「男のくせに情けないぞ」
「あ……ああ……ち、違う、わたしはオンナ」
彼は鼻で笑った。その鼻息が私の顔にぶつかった。
「こんな粗末なモノでもな、ぶら下げて生まれてきたら男なんだよ」
腰使いが激しくなる。私の密のせいで彼の亀頭も艶めかしい輝きを放ちだした。
「い、いや、ち、違うの」
「みっともない格好しやがって」
ギュッと掴まれた乳首。甘い快感の中にドス黒い電流が混ざる。
「い、痛い」
「そんなに男をやめたいか?男じゃなくなりたいか?」
低い声が下半身に響いてくる。それは思考を狂わせていく。
もうすでに半分以上は男じゃなくなっているはずだ。
でも、やはり心のどこかに残っているのだ。
「……やめたい」
完全に消してしまいたかった。
肉体が無理なら、せめて精神には男であることを残したくはなかった。
「俺の精子をここで受けろ。」
彼は私のモノを握った。
大きな掌にすっぽりと包まれ、力を入れるたびにその形が変形していく。
本当だったらそこには穴があって、
ごく自然なこととして彼を受け止めることが出来たのに。
私の穴は塞がれている。生まれたときからずっと。
穴の蓋が彼の雄に媚びるように擦り寄ってくる。
自分には何の役にも立たないはずの同性の精子を必死に欲している。
こんなものがなければ、けどここから伝わってくるキモチヨサは抗うことができない。
彼は物足りないのか、私のモノと一緒にして自分のモノで扱き始めた。
分厚い指の中で私はすぐに絶頂を迎える。薄い精液が漏れ出す。
しかし、彼が手の動きを止めることはない。
私のザーメンをローションのように使って、緩急をつけながら扱く。
「男は出したら終わりだけどな、お前は違うんだろ」
手がますます力強く、そして早くなっていった。
私の死んだ精子が彼の性器に塗りたくられていく。
「いくぞ!!」
彼は私の包皮を完全に露出させ、そこに大量の白濁液を放出した。
熱い液体が最も敏感な部分に掛けられていく。
彼の種がゆっくりと身体の中に染み込んでいった。
拭うことも惜しいと思わせるほどその感触と匂いに酔っていた。