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簡単なお仕事です。

 ネットで見つけた在宅バイト。
 送られてきたVRゴーグルの映像を見て、感想を書く。
 謝礼一万につられ、僕は応募した。
 数日後、小包が家に届く。

 目が覚めたか。
 ここはどこだって?別にどこでもいいじゃねえか。
 そんなに喚くな。ヒステリー女かお前は。
 まぁ、どんなに泣き叫んでも誰も助けにこないんだけどな。
 そんなにビビんなよ。殺しはしない。
 ちょっと痛い思いをするかもしれないが、予防注射みたいなもんだと思えばいい。
 それにこのあとの人生の楽しみが増えるからよ。嬉しいだろ。
 あ?俺が何者かなんてどうでもいいだろ。
 ん、ちゅ、ぐ、ん、じゅる。
 男とのキスは初めてか?だろうな。
 どうだ感想は。嫌がっているが悪くないって顔してるな。
 あはは、そんなに怒るか。
 でも、全部終わったら自分から求めてくるようになるぜ。
 否定したい気持ちは分かるが、これは仕方ない話なんだ。
 お前には素質があるから、俺が目の前にいるんだ。
 胸見せてみろよ。なに恥ずかしがってるんだ?男のくせに。
 可愛い乳首だな。おい、ちょっと触っただけでそんなに震えるか。
 ここを使えるようにするには多少時間がかかる。
 けど一旦感じるようになったら、あとはすげーぜ。
 敏感になりすぎると日常的にブラジャーつけないといけなくなるからよ。
 そうだよ。お前は今日で男を辞めるんだよ。
 分かってねえな。ちんこついてりゃオスってわけじゃねえんだよ。
 こんな雑魚チンポで女が満足するのか?
 女ってのは鼻が効くからよ。第一印象で分かるんだよ、そいつの器が。
 この先女に相手されない人生を送るよりも、男好きになったほうが楽しいぞ。
 まだ嫌がってるな。俺が優しく言ってるうちに従っとけよ。
 なんなら半殺しにして、ケツ掘ってから、言うこときかしてもいいんだぜ。
 まだてめえは男だから手加減はしねえからよ。
 おっ、急に素直になったな。初めからそうしとけばいいんだ。
 だが心のどっかで今だけ従ってる振りをすればいいと思ってるな。
 弱い男ってのは姑息だからすぐにそういうことを考えるんだ。
 ちょっと、俺の股間の見てみろよ。どうだ。お前のとは全然違うだろ。
 何百人って女をイカせてきた棒だぜ。
 これが本当の男ってやつだ。比べてみろよ。すごい差だろ。
 次はお前だ。ちょっとお尻見せろ。そうだ、自分の手で穴広げな。
 別に挿れねえから安心しなって。
 いまは化粧する自分や女の格好をする自分がイメージできないだろ。
 そんな自分はありえないって思ってるだろ。
 でも、乳首と尻穴がメスになったら、そういうところも自然と女になってくんだ。
 言葉遣いから歩き方まで変わっていって、しまいには目つきや顔つきまで違ってくる。
 そうなると男の姿のときでも女っぽさが隠せなくなるんだぜ。
 今までそういう奴らをたくさん見てきたからな。
 これからお前のチンポはクリトリスになるんだ。
 女を挿すモノじゃなくて、男が遊ぶモノになる。
 精子は子宮じゃなくて、野郎の手の平か口の中に収まるんだ。
 悲しむことはねえよ。女逝き覚えたら、そんなの吹っ飛ぶくらいに気持ちいいからよ。
 泣きながら言うと思うぜ。男やめてよかった、女になれて幸せってな。
 お前は男失格なんだ。早く諦めたほうがいいぞ。
 自分でちゃんと言うんだ。「あ、た、し」ってな。ほら言ってみな。
 男声で言ってどうするんだ馬鹿野郎。女声で可愛く言うんだよ。
 意外と上手いじゃねえか。名前は自分で考えろよ。
 女になったときの名前だよ。男のときの名前は今日で捨てろ。
 思いついたか?じゃあ今度はそれを口に出せ。何度もくりかえ
 
 
 怖くなってVRゴーグルを外した。見慣れた部屋が戻ってきたが、さっきまでいた場所の光景が頭から離れない。
 いた?いやずっとここにいたのだ。どこにもいっていない。もうこんなのは見ているだけ時間の無駄だ。
 箱にしまうために手に取ったVRゴーグルからさっきの続きが流れている。
 自分の中で何かが疼いた。手は意識とは違う動きをした。またあの声が聴こえてくる。
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キミノナハ

 巣穴から顔を出した小動物のようだ。
 軽く突くと「あ」という可愛らしい鳴き声が聴こえた。
 視線を上げると優香の熱っぽい眼差しとぶつかった。その後ろには照明の淡い光があって、後光がさしているように見えた。
 男を外れかけた肉体は独特の妖艶さと共に神聖な匂いが漂う。だが、そんな敬虔な気持ちに浸るほど聖人じゃない。
 半年前に出会った。初めて優香が優香と名乗った時、それはどう見ても不釣り合いだった。しかし、いまでは身体が本名よりも優香のほうに馴染んでいるに違いない。もっとも優香の本当の名前は知らないが。
 ああ、今まで普通の男だったのに、こんな風になっちまうなんて。俺は間欠泉みたいな興奮を感じた。
 毎週末、ホテルで抱いた甲斐があったというものだ。
 今日はいつもとは違うラブホテルにきた。優香は最初から女装していた。最近じゃ男の格好は仕事のときだけらしい。
 ちょっと面白みがない気がする。女装子を抱く男は着替える前の姿を見ることを嫌がる奴が多い。まったく分かってない。まず男の姿をじっくりと楽しむ。会って食事なんかもする。傍目から見ている限りでは、会社の上司と部下に見えるだろう。そして、ホテルでは女として抱いてやる。このギャップこそが醍醐味なのだ。
 胸を揉んでやる。女のおっぱいよりは硬さはあるが、その手触りは明らかに男のものではなかった。サイズは成長期が始まった女子中学生といった具合だ。昼のサラリーマンのときにぎりぎり誤魔化せる大きさかもしれない。
 ああんとやや過剰なほどの喘ぎ声が漏れる。
 おそらく優香はホルモンをしている。顔や身体から角が取れたような気がするのだ。
 注射なのか、薬を飲んでいるかは分からない。毎週セックスをしているが、二ヶ月前から変化は現れていた。
 ちなみになぜかそのことを俺には言わない。女装子の考えていることはよく分からない。
 一番変わったと思うのは積極的に裸になりたがることだ。いまもパンティーしか付けていない。出会ったころは脱ぐのは嫌がり、着衣のままで交わることが多かった。
 ある意味いまが一番美味しい時期なのかもしれない。
 ベッドの上で身体を引き上げ、自分の顔を優香の顔の位置まで持っていく。
 口づけ。たっぷりと舌を絡ませる。男と女では個々の部位のサイズ感が違ってくる。口なんかもそうで、キスをするときは大きい果物を食べている気分になる。しかし、優香は肌質が女に近いので、特有の味わいがある。
 唇を離すと、優香はもっとしてほしいというように唇をすぼめる。顔立ちも変わってきた。もともと整った顔の作りをしていた。丹精な顔立ちはさぞ女性にモテただろうなと思う。いまはそこにほどよい脂肪がついて、優しそうな顔立ちになっている。
 髪はまだウィッグだ。でも、俺はそれが好きだ。不自然な毛量の多さが女装子の偽物っぽさを際立たせ淫靡さを産む。たぶんそのうち自毛を伸ばすかもしれないな。そうなると少しつまらない。
 俺は再び唇に答えてやりながら、胸も一緒に揉んでやった。
 すでに股間は痛いくらいに勃起している。優香のは半立ちだ。完全には勃たないのかもしれない。
 ときどき俺はとんでもない罪悪感に襲われる。一人の男の人生を狂わせてしまったわけだ。優香のB面のときのルックスなら、女はたくさん寄ってくる。経済力もあるし、性格もいい。結婚なんてすぐにできるだろう。子どもを作って、マイホームを買って、そんな道を俺は誤らせた。もちろんこれは当人の判断であり、自己責任だ。俺に関係ないといえばそういう理屈もできる。
 ただそうすると味気がない。
 俺は股間を密着させた。完全に勃起した男根と優香の性器をこすり合わせる。
 硬くはないが柔らかくもない。強いて言うなら芯の入ったこんにゃくといったところだろうか。
 ホルモンをすると性欲が落ちるというが、あれは個人差がある。優香に関して言えばよりエロくなったし、質が変わった。なんというか気持ちを求めてくるようになったのだ。
 めんどくさくなったところはいなめない。
 下半身はもう少し温もりを求めていたが、俺は次のステップに進むことにした。ローションをたっぷりとチンポに垂らす。優香は何も言わずにバッグの姿勢になる。このあたりは阿吽の呼吸だ。
 穴にも塗りたくる。純女にしても、女装子にしても大事なのは濡らすことだ。その辺をわかってないガキが多すぎる。乱暴にしてそのうち気持ちよくなるよとほざく。自分のテクニックに酔っているだけなのだ。
 マッサージも大事だ。尻や穴の周りを丹念に揉んでやる。やはり手のひらに伝わってくる感触が違う。もちもちとしている。
「挿れるよ」
 俺の位置から優香の顔は見えないが、むしろそのほうが色々と想像できてよい。これは熟練者ならではの楽しみ方だ。
 にゅぷり。先端が侵入。ぬぷぬぷといった具合にどんどん中に入ってくる。ふむ、ちょっと閉まりが悪くなった。
「あぁ、優香の中は気持ちいいよ」
 出会った頃の優香は処女であった。指一本から開発を始めた。こういうのは焦らずじっくりやるのがいい。近頃は漫画の読みすぎかしらんが、なんでもすぐデカイのを挿れたがる。けしからん。
 指、小さなプラグ、アナルパールといった色々な小道具を使い、バージンを破ったのは二ヶ月後だった。
「動くよ」
 ねっとりと腰を動かしていく。優香はそれに合わせて艶っぽい声を上げる。女の声であった。
 毎週アナルセックスをしているから閉まりが悪くなったかもしれない。それにホルモンを使ったことで筋肉が落ちて、締め付ける力がなくなったのかも。俺はキツい穴が好きだ。女装子を抱くのもそれが理由だ。女よりも穴が強い。
 だんだんとスピードを上げていく。優香は短い息を吐きながら何かを叫んでいる。
 じゅぶぅう。勢い良く精子が出た。今日のために溜め込んでいたのだ。
「ふぅー」
 俺がチンポを引き抜くと、優香はその場に倒れ込んだ。ゴムを外し、俺の子種たちを蛍光灯に照らした。
 いつかのテレビで見たのだが、ゴムの中に出したザーメンは水子の霊として化けて出てこないかという話があった。それが本当なら俺はずいぶんと恨まれているはずだ。
 ゴムを縛って、ごみ箱に捨てる。ベッドに寝転がり、大きく伸びをした。
 優香は回復したようで俺に寄ってくる。腕枕をしてやった。
「わたし、女装バーでバイト始めたんだよ」
「へぇ、そう」
 店子になったのか。こりゃ昼の仕事はそのうち辞めるかもしれない。
「一度遊びに来てよ」
「はは、わかった。わかった」
 優香はベッドサイドに置いてあるバッグから名刺を取り出した。
「へぇ、源氏名を使うのか。しょうこ、だなんて少し古風だね」
 ぎゅっと抱きついてくる優香。俺は煙草が吸いたくて仕方がない。
「本名からもじったのよ」
「ふぅん」
 俺は優香の本名を知らないし、優香も俺の本名は知らなかった。

指輪

「結婚してくれ」
 ショウタはチヒロの手を取った。
 指輪を彼女の指に通す。小さなダイヤがキラリと光った。
「幸せにするよ」
 チヒロは涙ぐみながら何度も頷いた。
 細い身体を震わせる彼女を見て、ショウタは自分が守らないといけないと強く思った。




 キングサイズのベッドを窓から差し込んだ光が照らしていた。
 ショウタは全裸でその前に正座している。彼の身体はここ数年で大きく変わった。髪は肩の辺りまで伸び、全体に贅肉が付いている。とくに胸と腰回りは男のそれではない。
 チヒロはベッドの端に座り、かつての夫を眺めている。彼女もまた変化していた。乳房とお尻は倍ほどに成長していて、少し動くだけで揺れるほどの質量を持っている。
 かつて夫婦だった二人の関係は決定的に変わっていた。
「こないだ部屋を掃除してたら面白いモノを見つけたの」
 チヒロはショウタから貰った結婚指輪を見せた。
「それは……」
 記憶が蘇る。まだ愛し合っていたときのこと、まだ普通の男だったときのこと、まだ世界が普通だったときのこと。あまりにすべてが変わりすぎて、すっかり遠い昔だと思っていたが、時間はそこまで経っていなかった
「こんな安っぽい指輪は売ってもたいした金にはならないし、捨てようかなと思ったけど、良いこと思いついちゃったの」
 かつて愛した女の笑みにショウタは恐怖しか感じなかった。
「これあなたに返してあげる。さあ立ちなさい」
 言われるがままショウタは立ち上がった。チヒロはショウタの性器を摘むとそこに指輪を嵌めた。
「きゃーうそーピッタリじゃない。まさか本当に入るとは思ってなかったわ」
 チヒロは腹を抱えて大笑いした。
 小さなダイヤが性器の根本で光っている。自分のイチモツが縮んだことは十分にわかっていたが、改めてその残酷な現実を突き付けられたようだった。
「ねえ、お礼は?」
 言葉と同時に鞭が唸った。ショウタの太ももが当たり、シュパァンという音が鳴った。
「あ、ありがとうございます」
 痛みによって上げた叫び声からすぐさま感謝の言葉を発するショウタ。単に痛がっているだけだと二度目、三度目の鞭があるので、激痛を堪えながらチヒロの命令を聞かなければいけない。
 世間は鞭ブームである。主に一本鞭が使われていた。一番威力があるからである。妻たちはいまだに立場を受け入れられない夫の教育のために使っている。最近では鞭のワークショップなどが開かれ、チヒロは近々インストラクターの資格を取ろうかと考えていた。
 寝室にジョッシュが入ってきた。
「あらーダーリンー、お疲れ様ー」
 チヒロは鞭を放り投げて、ジョッシュに抱きついた。
「ベタベタするな。あとで可愛がってやるから」
 ジョッシュはチヒロをベッドに放り投げると、冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを飲み始めた。彼はさきほどまでトレーニングに汗を流していた。
 ショウタはジョッシュを見るたびに胸の奥を鷲掴みされたような感覚に陥る。
 身長は二メートル。隆起した筋肉が鎧のように全身を覆っている。黒い肌に施された豹のタトゥーがこちらを睨んでいる。
 それは最も原始的な恐怖であった。
「ん、またお仕置きされたのか。情けない男だな」
 ジョッシュはそれまでショウタがまったく見えてなかったかのように言った。実際、彼にとっては家具と同じような認識であった。
「じゃあ今日はツインタワーをやるか」
 ツインタワーとはベッドに仰向けに寝て、腰を高く上げる状態から始まる。手で腰を持って、足を大きく広げる。そうすると穴は無防備な状態になる。男はそこを指で責める。それに耐えて最後まで姿勢を保てたほうの勝ちとなる。
 夫婦はベッドの上の肉の塔になった。
「どれ味見してやるぞ」
 ジョッシュの太い指がチヒロの割れ目とショウタの菊穴に入り込む。それぞれの感じるところは熟知している。なので最初はあえて外しながら楽しむのが彼のやり方であった。
「く、くぅん」
 先に声を上げたのはショウタであった。性的な快楽というよりは、肉体的な疲労が原因であった。ずっと同じ姿勢が保つには筋力が落ちていた。学生時代のショウタは野球部のエースで運動神経は抜群であった。社会人になってからも定期的に筋トレをしていた。しかし、いまその面影はどこにもない。綺麗に割れていた腹はだらしない肉が付いていた。
「は、もうヘバッたのか。情けない男だ。俺が新兵だったころは逆さに吊るされて腹筋を500回やらされたんだぞ。まったくそんな貧弱だから負けてしまうのだ」
 指の動きは早くなり、チヒロも声を上げ始めた。雌の鳴き声であった。
「あん、だめぇ、ああんあん」
「いい、くうん、ああはん」
 チヒロは腰を大きく震わせて、潮を噴いた。そして、ベッドに倒れ込んだ。目は虚ろで呼吸は僅かに荒くなっていた。
「ビッチめ。シーツを汚しやがって」
 ショウタは反射的に勝ったと喜んだが、すぐに男の意識が差し込まれた。
(何を考えてるんだ。妻が手マンで潮を吹かされて、自分は尻穴を掘られているんだぞ)
 もう消えていたと思っていた男の意識はまだ心の奥底にあったようだ。うっかりと喜んでしまったばかりに男の自分が呼び起こしたのだろうか。
「よし、じゃあ、今日は旦那を犯してやる。ん?なんだこれは」
「はぁはぁ、ああ、それはね、こいつが私にくれた結婚指輪よ。もう要らないから返してあげたの。可愛いでしょ」
「はん、こんなもので女を捕まえようとするなんて、だからお前らは軟弱なんだ。雌は力で屈服させたらいいんだ」
 ジョッシュはショウタにバッグの姿勢を取らせた。ペニクリからポタポタと蜜が垂れている。
「ねえ、こいつのあとは私とセックスしてくれるのよねー」
「当たり前だ。何十回と種付けしてやる」
「きゃあ、嬉しい!」
 ショウタは両手で尻穴を広げていた。二人の会話が止まった。音から察するにキスをしているようだ。
 早くしてほしいという感情と寝取られた悔しさがぐるぐると渦を巻いていた。
「あら、やだぁこの子、穴ヒクヒクさせすぎ。もうよっぽど我慢できないのねー。はしたない女ねぇ」
 ジョッシュの巨根がお尻をなぞる。どうやら感触を楽しんでいるようだ。
「すっかり玉無しになったな。まえはもうちょっと反抗的だったのに」
 ジョッシュは自らの先端でショウタの陰嚢を突いていた。そこには真珠ほどの大きさの睾丸が入っている。ほとんど機能しておらず死にかけの玉であった。
「じゃじゃ馬をファックしたほうが気持ちいいんだがな」
 蟻の戸当りを黒い肉棒が上がっていく。それだけでゾクゾクと痺れる。
 ドスン。耳元で太鼓の音が鳴った。すぐさま第二波、第三波と続く。脳が揺れて、何も考えられなくなる。
 愛は微塵もなかった。ただ巨大な性欲を発散するためだけの行為であった。
 あまりに激しいピストンでショウタの雌ちんぽは揺れて指輪が抜けてしまった。しかし、彼はまったくそのことに気づいていない。
 シーツに顔を埋め、よだれを垂らしながら、ただ雌の悦びを貪っていた。

濁液

電車から降りたときに雨は上がっていた。
閑散とした駅前から少し歩くと巨大なパチンコ屋がいくつも並んでいる。
カラフルで眩い光は熱帯魚の水槽を思わせた。
ヒメナは水たまりをよけながら、広い道に出る。
左右にはファーストフード、レストラン、服屋、携帯ショップなどがあった。
どれも自分の街にあるものばかりだ。
バレないようにわざわざ隣の県まで来たのに、新鮮味がほとんどなかった。
しばらくすると目的の公園が見えて来た。
木々が生い茂り、広場と遊具があった。
隣の介護施設から光が漏れていて、奥にあるトイレを照らしていた。
瓦の屋根がある大きなトイレだった。
匂いはするが掃除が行き届いて、不潔な感じはあまりない。
ヒメナは障害者用の個室に入り、鍵を閉めた。

鏡を見ながら口紅を塗ろうとしたとき、手が震えていることに気がついた。
やっぱり帰ろうと思ったが、扉をドンドンを叩く音がした。
「へへ、掲示板見たよ」
掲示板というのは女装者や変態が集まる有名なサイトで、
パートナー募集、ハッテン場の情報、体験談なとが綴られていた。
都会でのやりとりが多く、
ヒメナのような地方在住の人間には遠い世界の話だった。
なぜそこに書き込んだのは、自分でも理由は分からなかった。
下着女装でメイクもロクに出来ない。まだ若いが可愛いというわけでもない。
そもそも掲示板に書かれていることはみんな嘘だと思っていた。
読んでいて興奮するし、毎日のようにアクセスしているが、
ヒメナにとってそれはあまり現実味がなく、小説を読んでる感覚に近かった。
全部嘘じゃなくても、かなりの誇張や願望は入っているはずだ。
もしかしたらそれを確かめたくて書き込みをしたのかもしれない。
「なあ、いるんだろ。ヒメナちゃん」
ドアを開けると、五十代くらいの白髪混じりの男性が立っていた。
「こりゃ若いっぺな。驚いた。
オレ、源次郎っていうんだ。源ちゃんって呼んでな」
「は、はい。よろしくお願いします」
源次郎はニコニコしながら入ってきた。
「こういうことは初めてやろ」
「は、はい」
源次郎からは微かに酒の匂いがした。
「土曜の夜なんかはけっこう人が集まるで。女装子さんたちもいるから。
まあ、お姉ちゃんみたいな若い子はいないな。みんな40、50ばっかさ」
「へ、へぇ」
「あんま化粧とかせんのか?それ地毛か?」
「は、はい。化粧はあんまり。これはエクステをつけてます」
源次郎はエクステが聞き取れないのか一瞬怪訝な顔をしたが、
また笑顔になり距離を詰めてきた。
「下は女もんはいとんやろ。見せてみ」
ここで断り、逃げることもできた。
しかし、ヒメナは源次郎の言う通りに服を脱ぎ、下着姿を晒した。
「ほほ、若いもんの肌はピチピチゃなのお」
源次郎はヒメナの全身を舐めるように見た。
「ちょっと触らせてもらうで」
ヒメナは黙って頷いた。
薄いピンク色の下着を捲ると、細いペニスがこぼれ落ちた。
無毛で子供の性器のように綺麗な色をしている。
ずっと下を向いたままだった。源次郎が物珍しそうに先を摘み持ち上げる。
へぇ、と感嘆したのか、呆れているのか、どっちともつかない溜息を吐いた。
源次郎は自分の下半身を突き出してきた。
そこには鈍重な男性器がぶら下がっている。
肉体労働者の手のように使い込まれた色をしていた。
まだ勃起はしてないが、ヒメナと比べるとその大きさは倍ほどに違った。
陰毛は性欲をそのまま表したかのように濃くて色々な方向に伸びている。
二人には分かりやすい雄の格差があった。
源次郎はヒメナのペニスの皮を剥いた。ビー玉のような亀頭が飛び出る。
尿道口は赤く、その周囲は綺麗な桃色であった。
息を吹きかけられると、それだけでジンっと痺れるような感覚が走る。
反応が面白かったのか、フッ、フッと何度も息を吐いた。
「かぶっとるわりに全然臭くねえ。めんこい色しとる」
人差し指で亀頭を軽く突かれると、ヒメナはビクッと全身を震わせた。
「ぐふふふ、そんなに敏感じゃあ、おべんちょはできんよな」
源次郎はヒメナの股間に顔を埋めた。
ペニスを口に咥えると、蕎麦を啜るような音を立てた。
腰が引けそうになるが、源次郎の手がヒメナの腰をしっかりと捕まえていた。
吸引の力が緩くなると、舌先を使った攻撃が始まった。
さきほどは痛みしか感じなかったが、今度は膝が震えるほどの気持ちよさがあった。
(ぼく、おじさんにおちんぽシャブラれ感じてる。なんて変態なんだ)
ゾクゾクと湧き上がる何かを感じたときには、
ヒメナの先端から大量の白濁液が放たれていた。
源次郎はそれを美味しそうに飲み干した。
「ははは、どうじゃ、わしのベラチョ。
みんなたまらんいいよるわい。にしてもずいぶん早かったのお。
そんなんじゃオナゴは満足させられんぞ」
生臭い息がヒメナの鼻孔に入り込んできた。
「つぎはわしのをお願いするよ」
源次郎の股間はわずかに硬さを帯びていて、
ヒメナはなんともいえない気味悪さを感じた。
トイレの中なので全体的に匂うのだが、
性器に顔を近づけると小便の匂いが一層に濃くなった。
思わず生唾を飲み込んだ。こみ上げてくる吐き気を抑えるためだ。
これを咥えるのか。頭では何度も想像したことなのに、いざ目の前にすると臆してしまう。
「生はムリか。ここいらの女装子さんは喜んで咥えるけどなぁ。
まぁええわ。最初やから勘弁しといたる。」
源次郎は上着のポケットから財布を取り出すと、その中からゴムを出した。
手慣れた様子で自らの性器にゴムを付けた。
匂いは薄くなったが、見た目のグロテスクさはむしろ強くなったような気がした。
おそるおそると口をつける。やはりゴムの味がした。
ペロペロと舌先でくすぐるように舐める。
「もっと強くしないと。わしが稽古つけたる」
源次郎はヒメナの頭を掴み、一気に奥まで入れ込んだ。
「ええか、歯は絶対に立てたらあかんで」
ヒメナの鼻息で源次郎の陰毛が小刻みに揺れた。
「唇を使ってな。よう吸い込むんや」
ほとんど無意識に言葉通りにやった。
「それでゆっくり舐めるんやで」
舌を使っていると源次郎の性器が完全に芯が通ったのを感じた。
「ほほう、気持ちええ。こりゃ才能あるで」
源次郎は少し休憩やといって、腰を引いた。
ヒメナはそのとき初めて他人の勃起というものを見た。
「お尻はどうや。興味あるか?」
「えっ、いや、その、ありますけど、あんまり経験はなくて」
上を向いた巨大な性器。あんなものがお尻に入るわけがない。
「ゆっくり拡張したら気持ちええで。ワシのはデカイから最初からはムリやわ」
がはははと豪快に笑う源次郎。
「まぁ、口だけで良い奴もいるし、兜合わせちゅーて擦り合わせるのが好きな子もおるから
みんながみんな掘られてるわけちゃうで。その辺は事前に言わなあかんし」
「そ、そうなんですね」
てっきりみんなお尻を使うと思っていたヒメナは少し驚いた。
「ただいっぺんお尻覚えたら、もう男には戻れんみたいやわ。
おもろいもんで、立ち振舞やら言葉遣いやらもガラリと変わるらしい。
やから、処女じゃなくなった女装子はもう一発で分かるんや」
生々しい話であった。
「あんちゃんはべっぴんさんやし、化粧せんでもホモさんとかにモテると思うで」
「はぁ、そうなんですか」
「ここいらの人らはあんまりこだわらへんな。ワシは昔大阪に住んどったけど、
やっぱり都会に行くほどこだわりがあって、女装子さん嫌うホモさん多かったわ」
源次郎はゴムを外して、ゴミ箱に捨てた。
「手やったら生でええやろ。今日はそれでしまいにしよ」
耳元で囁かれ、手を握られた。そのまま股間に導かれる。
手は口以上に力加減は難しかった。いつもやってるオナニーとはまったく感触が違った。
擦るとざらつきが手のひらの奥に染み込みそうな感触だった。
「かわええなぁ、ほんまにかわええぁ」
源次郎はじっとヒメナの顔を見ながら繰り返し呟いた。
興奮というよりは作業に近いものがあった。
しばらくすると源次郎はがはぁと息を吐き、性器から精子を放出した。
ヒメナは驚きのあまり手を離してしまった。
かなりの量だった。ボタボタと床に落ちて行く。
「ちょっと紙取って」
その指差す先にトイレットペーパーがあった。
「はい、どうぞ」
源次郎はそれで股間を拭い、床の精液を拭いた。
「ここは掃除せなあかんからな。たまにしょーらへん奴がおるからちゃんとせなあかんで」
紙をトイレに流すと、ズボンを履いた。
「ふーよかったわ。またやりたかったら掲示板に書き込んで。それか土曜やったらだいたいおるし、みんなに紹介したるわ」
源次郎はそう言ってトイレから出ていった。
ヒメナはガクガクと膝が震えだしたことに気づいた。次の瞬間には強烈な吐き気が突き上げ、洗面所で戻した。
ほとんど胃液しか出ず、口の中はずっと不快なままだった。
手のひらに水を貯めて飲もうとしたが、さっきまで男性器を触っていたことを思い出した。
「あ、ああ」
躊躇した。しかし、手が勝手に動きいつのまにか手のひらの水を飲んでいた。
カルキの匂いと鉄の味がする水道の水だった。

ビデオ個室にて

たくさんの女がいる。
アイドルのような女の子、下着姿で誘惑してくる女性、
熟れた身体を晒す熟女、あどけなさが残る女子高生。
彼女たちは棚一面に並べられ、微笑んでいた。
一つのパッケージを手に取り、裏返す。
毒々しい文字と裸の女優が隙間なく埋め尽くされていた。
カゴに入れる。もう一枚選ぼうか。
時々、身体を売る女たちがこんなにいることに感動を覚えることがある。
いや、それを買う男の欲望が好きなのかもしれない。
太った男性とすれ違う。肩が僅かに触れるが、お互いに無言のままだった。
人気女優の棚を順に見ていく。
一瞬、目が止まった。知らない顔だったが、名前に引っかかった。
「みのり」
最後の一枚は決めて、カウンターに持っていく。
時間と部屋の希望を告げる。何度も繰り返したやり取り。
店員はこちらを見ようともしなかった。
奥の通路に入り、薄暗い廊下を歩く。
部屋は三畳ほどの広さ。
正面にはデスクトップ型のパソコンがあって
床にくたびれた黒いマットが敷き詰められている。
この狭さが好きだ。必要なもの以外ないのも落ち着く。
三枚のDVDを借りたけど、見るのは一枚だけ。
まぁ、見ると言っても流すといったほうが正しい。
DVDをセットすると同時に鞄からウィッグと服と化粧品を取り出す。
時間を確認して、準備を始める。画面では「みのり」がインタビューを受けている。
僕は服を着替え、メイク道具を取り出した。
家でベースメイクとアイラインは済ませておいた。
これだけでもかなり時間が短縮できる。
目尻にアイラインを継ぎ足し、瞼にシャドウを塗る。
チークとリップをいれ、ウィッグをかぶったら完成。
「みのり」は男の人にキスされて身体を固くしていた。
時間を確認すると、もうまもなく始まりだ。
トントントン。三回のノックが聞こえて、少し間を置いて二回のノック。
これが合図。ドアを開けると、トモヤさんだった。
「久しぶりだね、ミノリちゃん」
トモヤさんはお相撲さんみたいな体格をしている。
狭い個室なので余計に圧迫されているような気分になる。
「も、もう貯まって仕方がないんだ。早速いいかな」
こちらの返答も聞かずに、チャックを下ろすトモヤさん。
やや小さめの竿が顔を出す。
咥えると塩っぱさが鼻の奥へ抜けていく。
すぐに硬くなるけど、そこまで大きくなるわけではない。
「ああ、かわいいよ…かわいいよ」
トモヤさんはいつもうわ言のように呟く。
まぁ、悪い気はしない。汗臭さがなければ良い人だ。
無理強いもしないし、乱暴なこともしない。
ただ性を発散するためだけに来た一方通行の繋がり。
「イク!!出る!!」
ドロっとした熱い精液が口の中に入ってくる。
苦味を感じる前に飲み干す。トモヤさんは満足そうな顔をしている。
「えへへ、いっぱい出したね。じゃあ、またね」
あっさりとしている。でも、これくらいがちょうどいいのかも。
画面の「みのり」はまだフェラチオを続けていた。しかも二本。
ペットボトルのお茶を飲み込んで、フリスクを食べる。
イカ臭さは幾分かマシになった。
ノック音がした。ドアを開けると、男の子がいた。
若い。大学生くらいに見える。
「あ、あのミノリさんですよね」
いつも中年の男性を相手にしているので、こういうのは新鮮だ。
緊張で顔が赤くなっている。可愛い。
「ぼくのオチンチン舐めてください」
と言ってズボンを下ろすと、バネ仕掛けのようにズル剥けの巨根が飛び出た。
こんなあどけない顔をして、ずいぶんと立派なモノをお持ちだこと。
しかも、もうこんなに硬くしてる。
咥え込むと、ああという呻き声を上げた。反応が良いとこちらも盛り上がる。
最初から飛ばすとすぐにイッちゃいそうだから、ソフトな刺激から。
それでもこの子には強すぎるみたいで、足がプルプルと震えている。
これはすぐ出すかなと思ったけど、意外と我慢強い。
さっきとは大違い
大きさのせいもあって顎がだるくなってきた。
手を使って玉を転がす。うう、とまた声を出すし、竿が大きくしなった。
もうすぐと思っていたら、いくぅと声を出して、大量の白濁液を飛ばした。
思った以上の量なので、ビックリしたが我慢して飲み込む。
彼は茫然自失といった表情で、視線が定まっていない。
僕がティッシュで性器を拭いてあげると、「あっ、すいません」と俯いた。
それから「すいません、すいません」を繰り返して、ズボンを穿くと急いで部屋から出た。
ああ、残念。あの感じならもうニ〜三発はイケたはず。
きっと自分がとんでもないことをしたと思って、受け止めるのに必死なんだろう。
また戻ってくるかな。こういう趣味ってなかなか抜け出せないもんだからね。
「みのり」のほうは口を開けて男優が出した精液を見せている。
ドンドン。強めのノック。僕が開ける前に、ドアが開く。
「よう」
髭面の男。初めて会ったときはリュウジって名乗ったけど、もちろん本名かは知らない。
どんな仕事をしているのかも分からない。入れ墨がないからヤクザではないと思うけど。
リュウジはづかづかと入ってくると、軽くため息をついた。
「もう出したか?」
一番乗りじゃないのが悔しいらしい。
まだですと答えると、無表情のまま頷いた。あまり感情を表に出さない人だ。
強引にキスをしてくる。煙草の匂いが染み付いた舌がねじ込まれる。
無口だがこういうときは欲望のままに貪ってくる。
唇が離れると、お互いに軽く息が上がっていた。
次は身体を密着させる。リュウジの硬くなったモノが僕のモノとぶつかる。
痺れるような気持ちよさが下半身から登ってくる。
もっとキスしてほしいと思って顔を近づけると、リュウジは僕の股間をギュッと掴んだ。
鈍痛があって、そのあとに切なさがやってくる。全身の力が抜けて立っていられない。
苦しいでも辞めないでほしい。
そのまま扱かれる。一瞬、服が汚れるということが頭をよぎったが、
もうどうなってもいいという気持ちがそれを打ち消した。
湧き上がってくる熱にすべてを委ねようとしたとき、手が止まった。
顔を見ると僅かに笑っていた。意地悪。
「下は全部脱げよ」
言われるがままに下半身を晒す。芋虫のような性器が空気に触れた。
指で突かれる。絶頂の手前で止まった敏感なそこは僅かな刺激でも震える。
「尻むけろ」
無骨な言葉遣いに、黙って従うしかなかった。
リュウジは何も言わずに僕のバッグに手を突っ込むと、中からローションを取り出した。
たっぷりと塗られる。尻穴が僕とは違う意思を持ったかのようにヒクヒクと動いている。
ズボンを脱ぐ音がした。熱を帯びた矛先で尻をペチペチと叩かれる。
ああ、早く挿れてほしい。もどかしさを煽るように焦らされる。
グッ。唐突にこじ開けられる音が身体の中で響く。
全身の力が抜けて、自分が自分でなくなるような気がした。
けど、そんな夢見心地は長くは続かない。
ゆっくりとしかし確実に強くなっていく腰使い。
視界が揺れる。パソコンの画面では「みのり」がわたしと同じように激しく突かれていた。
頭の奥で火花が散った。
熱い塊が深く僕に差し込まれるたびに快楽の声が押し出される。
演技でもなんでもない。ただ自然の反応として出てしまう。
リュウジはそんな僕の口を手で塞いだ。
無意識に手のひらを舐めていたら、太い指を口の中に挿れられた。
それすらも舌でむしゃぶりつく。穴という穴を犯してほしい。
動きが一段と激しくなる。「みのり」への焦点が定まらなくなった。
「ああ」
獣のような唸り声と共に身体の中で大きなうねりがあって
精液が注ぎ込まれるのをはっきりと感じた。
引き抜かれると、僕は崩れ落ちるように床に倒れた。
リュウジはティッシュで自分のイチモツを拭くと、部屋から出た。
画面はいつの間にか暗くなっていた。
僕は女装を解いて、メイクを落とした。身支度を整えて、受付で精算を済ます。
店員は最初とは別の人だったが、目を合わせることなくお釣りを渡した。
店から出ると、辺りはすっかりと暗くなって、街にはネオンが灯り始めていた。
たくさんの女たちが行き交っている。
派手な格好のキャバクラ嬢、アニメ声でビラを配るメイド、
早歩きのOL、煙草を咥えた風俗嬢。
僕は彼女たちを見ながら、人混みに紛れていった。