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指輪

「結婚してくれ」
 ショウタはチヒロの手を取った。
 指輪を彼女の指に通す。小さなダイヤがキラリと光った。
「幸せにするよ」
 チヒロは涙ぐみながら何度も頷いた。
 細い身体を震わせる彼女を見て、ショウタは自分が守らないといけないと強く思った。




 キングサイズのベッドを窓から差し込んだ光が照らしていた。
 ショウタは全裸でその前に正座している。彼の身体はここ数年で大きく変わった。髪は肩の辺りまで伸び、全体に贅肉が付いている。とくに胸と腰回りは男のそれではない。
 チヒロはベッドの端に座り、かつての夫を眺めている。彼女もまた変化していた。乳房とお尻は倍ほどに成長していて、少し動くだけで揺れるほどの質量を持っている。
 かつて夫婦だった二人の関係は決定的に変わっていた。
「こないだ部屋を掃除してたら面白いモノを見つけたの」
 チヒロはショウタから貰った結婚指輪を見せた。
「それは……」
 記憶が蘇る。まだ愛し合っていたときのこと、まだ普通の男だったときのこと、まだ世界が普通だったときのこと。あまりにすべてが変わりすぎて、すっかり遠い昔だと思っていたが、時間はそこまで経っていなかった
「こんな安っぽい指輪は売ってもたいした金にはならないし、捨てようかなと思ったけど、良いこと思いついちゃったの」
 かつて愛した女の笑みにショウタは恐怖しか感じなかった。
「これあなたに返してあげる。さあ立ちなさい」
 言われるがままショウタは立ち上がった。チヒロはショウタの性器を摘むとそこに指輪を嵌めた。
「きゃーうそーピッタリじゃない。まさか本当に入るとは思ってなかったわ」
 チヒロは腹を抱えて大笑いした。
 小さなダイヤが性器の根本で光っている。自分のイチモツが縮んだことは十分にわかっていたが、改めてその残酷な現実を突き付けられたようだった。
「ねえ、お礼は?」
 言葉と同時に鞭が唸った。ショウタの太ももが当たり、シュパァンという音が鳴った。
「あ、ありがとうございます」
 痛みによって上げた叫び声からすぐさま感謝の言葉を発するショウタ。単に痛がっているだけだと二度目、三度目の鞭があるので、激痛を堪えながらチヒロの命令を聞かなければいけない。
 世間は鞭ブームである。主に一本鞭が使われていた。一番威力があるからである。妻たちはいまだに立場を受け入れられない夫の教育のために使っている。最近では鞭のワークショップなどが開かれ、チヒロは近々インストラクターの資格を取ろうかと考えていた。
 寝室にジョッシュが入ってきた。
「あらーダーリンー、お疲れ様ー」
 チヒロは鞭を放り投げて、ジョッシュに抱きついた。
「ベタベタするな。あとで可愛がってやるから」
 ジョッシュはチヒロをベッドに放り投げると、冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを飲み始めた。彼はさきほどまでトレーニングに汗を流していた。
 ショウタはジョッシュを見るたびに胸の奥を鷲掴みされたような感覚に陥る。
 身長は二メートル。隆起した筋肉が鎧のように全身を覆っている。黒い肌に施された豹のタトゥーがこちらを睨んでいる。
 それは最も原始的な恐怖であった。
「ん、またお仕置きされたのか。情けない男だな」
 ジョッシュはそれまでショウタがまったく見えてなかったかのように言った。実際、彼にとっては家具と同じような認識であった。
「じゃあ今日はツインタワーをやるか」
 ツインタワーとはベッドに仰向けに寝て、腰を高く上げる状態から始まる。手で腰を持って、足を大きく広げる。そうすると穴は無防備な状態になる。男はそこを指で責める。それに耐えて最後まで姿勢を保てたほうの勝ちとなる。
 夫婦はベッドの上の肉の塔になった。
「どれ味見してやるぞ」
 ジョッシュの太い指がチヒロの割れ目とショウタの菊穴に入り込む。それぞれの感じるところは熟知している。なので最初はあえて外しながら楽しむのが彼のやり方であった。
「く、くぅん」
 先に声を上げたのはショウタであった。性的な快楽というよりは、肉体的な疲労が原因であった。ずっと同じ姿勢が保つには筋力が落ちていた。学生時代のショウタは野球部のエースで運動神経は抜群であった。社会人になってからも定期的に筋トレをしていた。しかし、いまその面影はどこにもない。綺麗に割れていた腹はだらしない肉が付いていた。
「は、もうヘバッたのか。情けない男だ。俺が新兵だったころは逆さに吊るされて腹筋を500回やらされたんだぞ。まったくそんな貧弱だから負けてしまうのだ」
 指の動きは早くなり、チヒロも声を上げ始めた。雌の鳴き声であった。
「あん、だめぇ、ああんあん」
「いい、くうん、ああはん」
 チヒロは腰を大きく震わせて、潮を噴いた。そして、ベッドに倒れ込んだ。目は虚ろで呼吸は僅かに荒くなっていた。
「ビッチめ。シーツを汚しやがって」
 ショウタは反射的に勝ったと喜んだが、すぐに男の意識が差し込まれた。
(何を考えてるんだ。妻が手マンで潮を吹かされて、自分は尻穴を掘られているんだぞ)
 もう消えていたと思っていた男の意識はまだ心の奥底にあったようだ。うっかりと喜んでしまったばかりに男の自分が呼び起こしたのだろうか。
「よし、じゃあ、今日は旦那を犯してやる。ん?なんだこれは」
「はぁはぁ、ああ、それはね、こいつが私にくれた結婚指輪よ。もう要らないから返してあげたの。可愛いでしょ」
「はん、こんなもので女を捕まえようとするなんて、だからお前らは軟弱なんだ。雌は力で屈服させたらいいんだ」
 ジョッシュはショウタにバッグの姿勢を取らせた。ペニクリからポタポタと蜜が垂れている。
「ねえ、こいつのあとは私とセックスしてくれるのよねー」
「当たり前だ。何十回と種付けしてやる」
「きゃあ、嬉しい!」
 ショウタは両手で尻穴を広げていた。二人の会話が止まった。音から察するにキスをしているようだ。
 早くしてほしいという感情と寝取られた悔しさがぐるぐると渦を巻いていた。
「あら、やだぁこの子、穴ヒクヒクさせすぎ。もうよっぽど我慢できないのねー。はしたない女ねぇ」
 ジョッシュの巨根がお尻をなぞる。どうやら感触を楽しんでいるようだ。
「すっかり玉無しになったな。まえはもうちょっと反抗的だったのに」
 ジョッシュは自らの先端でショウタの陰嚢を突いていた。そこには真珠ほどの大きさの睾丸が入っている。ほとんど機能しておらず死にかけの玉であった。
「じゃじゃ馬をファックしたほうが気持ちいいんだがな」
 蟻の戸当りを黒い肉棒が上がっていく。それだけでゾクゾクと痺れる。
 ドスン。耳元で太鼓の音が鳴った。すぐさま第二波、第三波と続く。脳が揺れて、何も考えられなくなる。
 愛は微塵もなかった。ただ巨大な性欲を発散するためだけの行為であった。
 あまりに激しいピストンでショウタの雌ちんぽは揺れて指輪が抜けてしまった。しかし、彼はまったくそのことに気づいていない。
 シーツに顔を埋め、よだれを垂らしながら、ただ雌の悦びを貪っていた。
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濁液

電車から降りたときに雨は上がっていた。
閑散とした駅前から少し歩くと巨大なパチンコ屋がいくつも並んでいる。
カラフルで眩い光は熱帯魚の水槽を思わせた。
ヒメナは水たまりをよけながら、広い道に出る。
左右にはファーストフード、レストラン、服屋、携帯ショップなどがあった。
どれも自分の街にあるものばかりだ。
バレないようにわざわざ隣の県まで来たのに、新鮮味がほとんどなかった。
しばらくすると目的の公園が見えて来た。
木々が生い茂り、広場と遊具があった。
隣の介護施設から光が漏れていて、奥にあるトイレを照らしていた。
瓦の屋根がある大きなトイレだった。
匂いはするが掃除が行き届いて、不潔な感じはあまりない。
ヒメナは障害者用の個室に入り、鍵を閉めた。

鏡を見ながら口紅を塗ろうとしたとき、手が震えていることに気がついた。
やっぱり帰ろうと思ったが、扉をドンドンを叩く音がした。
「へへ、掲示板見たよ」
掲示板というのは女装者や変態が集まる有名なサイトで、
パートナー募集、ハッテン場の情報、体験談なとが綴られていた。
都会でのやりとりが多く、
ヒメナのような地方在住の人間には遠い世界の話だった。
なぜそこに書き込んだのは、自分でも理由は分からなかった。
下着女装でメイクもロクに出来ない。まだ若いが可愛いというわけでもない。
そもそも掲示板に書かれていることはみんな嘘だと思っていた。
読んでいて興奮するし、毎日のようにアクセスしているが、
ヒメナにとってそれはあまり現実味がなく、小説を読んでる感覚に近かった。
全部嘘じゃなくても、かなりの誇張や願望は入っているはずだ。
もしかしたらそれを確かめたくて書き込みをしたのかもしれない。
「なあ、いるんだろ。ヒメナちゃん」
ドアを開けると、五十代くらいの白髪混じりの男性が立っていた。
「こりゃ若いっぺな。驚いた。
オレ、源次郎っていうんだ。源ちゃんって呼んでな」
「は、はい。よろしくお願いします」
源次郎はニコニコしながら入ってきた。
「こういうことは初めてやろ」
「は、はい」
源次郎からは微かに酒の匂いがした。
「土曜の夜なんかはけっこう人が集まるで。女装子さんたちもいるから。
まあ、お姉ちゃんみたいな若い子はいないな。みんな40、50ばっかさ」
「へ、へぇ」
「あんま化粧とかせんのか?それ地毛か?」
「は、はい。化粧はあんまり。これはエクステをつけてます」
源次郎はエクステが聞き取れないのか一瞬怪訝な顔をしたが、
また笑顔になり距離を詰めてきた。
「下は女もんはいとんやろ。見せてみ」
ここで断り、逃げることもできた。
しかし、ヒメナは源次郎の言う通りに服を脱ぎ、下着姿を晒した。
「ほほ、若いもんの肌はピチピチゃなのお」
源次郎はヒメナの全身を舐めるように見た。
「ちょっと触らせてもらうで」
ヒメナは黙って頷いた。
薄いピンク色の下着を捲ると、細いペニスがこぼれ落ちた。
無毛で子供の性器のように綺麗な色をしている。
ずっと下を向いたままだった。源次郎が物珍しそうに先を摘み持ち上げる。
へぇ、と感嘆したのか、呆れているのか、どっちともつかない溜息を吐いた。
源次郎は自分の下半身を突き出してきた。
そこには鈍重な男性器がぶら下がっている。
肉体労働者の手のように使い込まれた色をしていた。
まだ勃起はしてないが、ヒメナと比べるとその大きさは倍ほどに違った。
陰毛は性欲をそのまま表したかのように濃くて色々な方向に伸びている。
二人には分かりやすい雄の格差があった。
源次郎はヒメナのペニスの皮を剥いた。ビー玉のような亀頭が飛び出る。
尿道口は赤く、その周囲は綺麗な桃色であった。
息を吹きかけられると、それだけでジンっと痺れるような感覚が走る。
反応が面白かったのか、フッ、フッと何度も息を吐いた。
「かぶっとるわりに全然臭くねえ。めんこい色しとる」
人差し指で亀頭を軽く突かれると、ヒメナはビクッと全身を震わせた。
「ぐふふふ、そんなに敏感じゃあ、おべんちょはできんよな」
源次郎はヒメナの股間に顔を埋めた。
ペニスを口に咥えると、蕎麦を啜るような音を立てた。
腰が引けそうになるが、源次郎の手がヒメナの腰をしっかりと捕まえていた。
吸引の力が緩くなると、舌先を使った攻撃が始まった。
さきほどは痛みしか感じなかったが、今度は膝が震えるほどの気持ちよさがあった。
(ぼく、おじさんにおちんぽシャブラれ感じてる。なんて変態なんだ)
ゾクゾクと湧き上がる何かを感じたときには、
ヒメナの先端から大量の白濁液が放たれていた。
源次郎はそれを美味しそうに飲み干した。
「ははは、どうじゃ、わしのベラチョ。
みんなたまらんいいよるわい。にしてもずいぶん早かったのお。
そんなんじゃオナゴは満足させられんぞ」
生臭い息がヒメナの鼻孔に入り込んできた。
「つぎはわしのをお願いするよ」
源次郎の股間はわずかに硬さを帯びていて、
ヒメナはなんともいえない気味悪さを感じた。
トイレの中なので全体的に匂うのだが、
性器に顔を近づけると小便の匂いが一層に濃くなった。
思わず生唾を飲み込んだ。こみ上げてくる吐き気を抑えるためだ。
これを咥えるのか。頭では何度も想像したことなのに、いざ目の前にすると臆してしまう。
「生はムリか。ここいらの女装子さんは喜んで咥えるけどなぁ。
まぁええわ。最初やから勘弁しといたる。」
源次郎は上着のポケットから財布を取り出すと、その中からゴムを出した。
手慣れた様子で自らの性器にゴムを付けた。
匂いは薄くなったが、見た目のグロテスクさはむしろ強くなったような気がした。
おそるおそると口をつける。やはりゴムの味がした。
ペロペロと舌先でくすぐるように舐める。
「もっと強くしないと。わしが稽古つけたる」
源次郎はヒメナの頭を掴み、一気に奥まで入れ込んだ。
「ええか、歯は絶対に立てたらあかんで」
ヒメナの鼻息で源次郎の陰毛が小刻みに揺れた。
「唇を使ってな。よう吸い込むんや」
ほとんど無意識に言葉通りにやった。
「それでゆっくり舐めるんやで」
舌を使っていると源次郎の性器が完全に芯が通ったのを感じた。
「ほほう、気持ちええ。こりゃ才能あるで」
源次郎は少し休憩やといって、腰を引いた。
ヒメナはそのとき初めて他人の勃起というものを見た。
「お尻はどうや。興味あるか?」
「えっ、いや、その、ありますけど、あんまり経験はなくて」
上を向いた巨大な性器。あんなものがお尻に入るわけがない。
「ゆっくり拡張したら気持ちええで。ワシのはデカイから最初からはムリやわ」
がはははと豪快に笑う源次郎。
「まぁ、口だけで良い奴もいるし、兜合わせちゅーて擦り合わせるのが好きな子もおるから
みんながみんな掘られてるわけちゃうで。その辺は事前に言わなあかんし」
「そ、そうなんですね」
てっきりみんなお尻を使うと思っていたヒメナは少し驚いた。
「ただいっぺんお尻覚えたら、もう男には戻れんみたいやわ。
おもろいもんで、立ち振舞やら言葉遣いやらもガラリと変わるらしい。
やから、処女じゃなくなった女装子はもう一発で分かるんや」
生々しい話であった。
「あんちゃんはべっぴんさんやし、化粧せんでもホモさんとかにモテると思うで」
「はぁ、そうなんですか」
「ここいらの人らはあんまりこだわらへんな。ワシは昔大阪に住んどったけど、
やっぱり都会に行くほどこだわりがあって、女装子さん嫌うホモさん多かったわ」
源次郎はゴムを外して、ゴミ箱に捨てた。
「手やったら生でええやろ。今日はそれでしまいにしよ」
耳元で囁かれ、手を握られた。そのまま股間に導かれる。
手は口以上に力加減は難しかった。いつもやってるオナニーとはまったく感触が違った。
擦るとざらつきが手のひらの奥に染み込みそうな感触だった。
「かわええなぁ、ほんまにかわええぁ」
源次郎はじっとヒメナの顔を見ながら繰り返し呟いた。
興奮というよりは作業に近いものがあった。
しばらくすると源次郎はがはぁと息を吐き、性器から精子を放出した。
ヒメナは驚きのあまり手を離してしまった。
かなりの量だった。ボタボタと床に落ちて行く。
「ちょっと紙取って」
その指差す先にトイレットペーパーがあった。
「はい、どうぞ」
源次郎はそれで股間を拭い、床の精液を拭いた。
「ここは掃除せなあかんからな。たまにしょーらへん奴がおるからちゃんとせなあかんで」
紙をトイレに流すと、ズボンを履いた。
「ふーよかったわ。またやりたかったら掲示板に書き込んで。それか土曜やったらだいたいおるし、みんなに紹介したるわ」
源次郎はそう言ってトイレから出ていった。
ヒメナはガクガクと膝が震えだしたことに気づいた。次の瞬間には強烈な吐き気が突き上げ、洗面所で戻した。
ほとんど胃液しか出ず、口の中はずっと不快なままだった。
手のひらに水を貯めて飲もうとしたが、さっきまで男性器を触っていたことを思い出した。
「あ、ああ」
躊躇した。しかし、手が勝手に動きいつのまにか手のひらの水を飲んでいた。
カルキの匂いと鉄の味がする水道の水だった。

ビデオ個室にて

たくさんの女がいる。
アイドルのような女の子、下着姿で誘惑してくる女性、
熟れた身体を晒す熟女、あどけなさが残る女子高生。
彼女たちは棚一面に並べられ、微笑んでいた。
一つのパッケージを手に取り、裏返す。
毒々しい文字と裸の女優が隙間なく埋め尽くされていた。
カゴに入れる。もう一枚選ぼうか。
時々、身体を売る女たちがこんなにいることに感動を覚えることがある。
いや、それを買う男の欲望が好きなのかもしれない。
太った男性とすれ違う。肩が僅かに触れるが、お互いに無言のままだった。
人気女優の棚を順に見ていく。
一瞬、目が止まった。知らない顔だったが、名前に引っかかった。
「みのり」
最後の一枚は決めて、カウンターに持っていく。
時間と部屋の希望を告げる。何度も繰り返したやり取り。
店員はこちらを見ようともしなかった。
奥の通路に入り、薄暗い廊下を歩く。
部屋は三畳ほどの広さ。
正面にはデスクトップ型のパソコンがあって
床にくたびれた黒いマットが敷き詰められている。
この狭さが好きだ。必要なもの以外ないのも落ち着く。
三枚のDVDを借りたけど、見るのは一枚だけ。
まぁ、見ると言っても流すといったほうが正しい。
DVDをセットすると同時に鞄からウィッグと服と化粧品を取り出す。
時間を確認して、準備を始める。画面では「みのり」がインタビューを受けている。
僕は服を着替え、メイク道具を取り出した。
家でベースメイクとアイラインは済ませておいた。
これだけでもかなり時間が短縮できる。
目尻にアイラインを継ぎ足し、瞼にシャドウを塗る。
チークとリップをいれ、ウィッグをかぶったら完成。
「みのり」は男の人にキスされて身体を固くしていた。
時間を確認すると、もうまもなく始まりだ。
トントントン。三回のノックが聞こえて、少し間を置いて二回のノック。
これが合図。ドアを開けると、トモヤさんだった。
「久しぶりだね、ミノリちゃん」
トモヤさんはお相撲さんみたいな体格をしている。
狭い個室なので余計に圧迫されているような気分になる。
「も、もう貯まって仕方がないんだ。早速いいかな」
こちらの返答も聞かずに、チャックを下ろすトモヤさん。
やや小さめの竿が顔を出す。
咥えると塩っぱさが鼻の奥へ抜けていく。
すぐに硬くなるけど、そこまで大きくなるわけではない。
「ああ、かわいいよ…かわいいよ」
トモヤさんはいつもうわ言のように呟く。
まぁ、悪い気はしない。汗臭さがなければ良い人だ。
無理強いもしないし、乱暴なこともしない。
ただ性を発散するためだけに来た一方通行の繋がり。
「イク!!出る!!」
ドロっとした熱い精液が口の中に入ってくる。
苦味を感じる前に飲み干す。トモヤさんは満足そうな顔をしている。
「えへへ、いっぱい出したね。じゃあ、またね」
あっさりとしている。でも、これくらいがちょうどいいのかも。
画面の「みのり」はまだフェラチオを続けていた。しかも二本。
ペットボトルのお茶を飲み込んで、フリスクを食べる。
イカ臭さは幾分かマシになった。
ノック音がした。ドアを開けると、男の子がいた。
若い。大学生くらいに見える。
「あ、あのミノリさんですよね」
いつも中年の男性を相手にしているので、こういうのは新鮮だ。
緊張で顔が赤くなっている。可愛い。
「ぼくのオチンチン舐めてください」
と言ってズボンを下ろすと、バネ仕掛けのようにズル剥けの巨根が飛び出た。
こんなあどけない顔をして、ずいぶんと立派なモノをお持ちだこと。
しかも、もうこんなに硬くしてる。
咥え込むと、ああという呻き声を上げた。反応が良いとこちらも盛り上がる。
最初から飛ばすとすぐにイッちゃいそうだから、ソフトな刺激から。
それでもこの子には強すぎるみたいで、足がプルプルと震えている。
これはすぐ出すかなと思ったけど、意外と我慢強い。
さっきとは大違い
大きさのせいもあって顎がだるくなってきた。
手を使って玉を転がす。うう、とまた声を出すし、竿が大きくしなった。
もうすぐと思っていたら、いくぅと声を出して、大量の白濁液を飛ばした。
思った以上の量なので、ビックリしたが我慢して飲み込む。
彼は茫然自失といった表情で、視線が定まっていない。
僕がティッシュで性器を拭いてあげると、「あっ、すいません」と俯いた。
それから「すいません、すいません」を繰り返して、ズボンを穿くと急いで部屋から出た。
ああ、残念。あの感じならもうニ〜三発はイケたはず。
きっと自分がとんでもないことをしたと思って、受け止めるのに必死なんだろう。
また戻ってくるかな。こういう趣味ってなかなか抜け出せないもんだからね。
「みのり」のほうは口を開けて男優が出した精液を見せている。
ドンドン。強めのノック。僕が開ける前に、ドアが開く。
「よう」
髭面の男。初めて会ったときはリュウジって名乗ったけど、もちろん本名かは知らない。
どんな仕事をしているのかも分からない。入れ墨がないからヤクザではないと思うけど。
リュウジはづかづかと入ってくると、軽くため息をついた。
「もう出したか?」
一番乗りじゃないのが悔しいらしい。
まだですと答えると、無表情のまま頷いた。あまり感情を表に出さない人だ。
強引にキスをしてくる。煙草の匂いが染み付いた舌がねじ込まれる。
無口だがこういうときは欲望のままに貪ってくる。
唇が離れると、お互いに軽く息が上がっていた。
次は身体を密着させる。リュウジの硬くなったモノが僕のモノとぶつかる。
痺れるような気持ちよさが下半身から登ってくる。
もっとキスしてほしいと思って顔を近づけると、リュウジは僕の股間をギュッと掴んだ。
鈍痛があって、そのあとに切なさがやってくる。全身の力が抜けて立っていられない。
苦しいでも辞めないでほしい。
そのまま扱かれる。一瞬、服が汚れるということが頭をよぎったが、
もうどうなってもいいという気持ちがそれを打ち消した。
湧き上がってくる熱にすべてを委ねようとしたとき、手が止まった。
顔を見ると僅かに笑っていた。意地悪。
「下は全部脱げよ」
言われるがままに下半身を晒す。芋虫のような性器が空気に触れた。
指で突かれる。絶頂の手前で止まった敏感なそこは僅かな刺激でも震える。
「尻むけろ」
無骨な言葉遣いに、黙って従うしかなかった。
リュウジは何も言わずに僕のバッグに手を突っ込むと、中からローションを取り出した。
たっぷりと塗られる。尻穴が僕とは違う意思を持ったかのようにヒクヒクと動いている。
ズボンを脱ぐ音がした。熱を帯びた矛先で尻をペチペチと叩かれる。
ああ、早く挿れてほしい。もどかしさを煽るように焦らされる。
グッ。唐突にこじ開けられる音が身体の中で響く。
全身の力が抜けて、自分が自分でなくなるような気がした。
けど、そんな夢見心地は長くは続かない。
ゆっくりとしかし確実に強くなっていく腰使い。
視界が揺れる。パソコンの画面では「みのり」がわたしと同じように激しく突かれていた。
頭の奥で火花が散った。
熱い塊が深く僕に差し込まれるたびに快楽の声が押し出される。
演技でもなんでもない。ただ自然の反応として出てしまう。
リュウジはそんな僕の口を手で塞いだ。
無意識に手のひらを舐めていたら、太い指を口の中に挿れられた。
それすらも舌でむしゃぶりつく。穴という穴を犯してほしい。
動きが一段と激しくなる。「みのり」への焦点が定まらなくなった。
「ああ」
獣のような唸り声と共に身体の中で大きなうねりがあって
精液が注ぎ込まれるのをはっきりと感じた。
引き抜かれると、僕は崩れ落ちるように床に倒れた。
リュウジはティッシュで自分のイチモツを拭くと、部屋から出た。
画面はいつの間にか暗くなっていた。
僕は女装を解いて、メイクを落とした。身支度を整えて、受付で精算を済ます。
店員は最初とは別の人だったが、目を合わせることなくお釣りを渡した。
店から出ると、辺りはすっかりと暗くなって、街にはネオンが灯り始めていた。
たくさんの女たちが行き交っている。
派手な格好のキャバクラ嬢、アニメ声でビラを配るメイド、
早歩きのOL、煙草を咥えた風俗嬢。
僕は彼女たちを見ながら、人混みに紛れていった。

貸出調教

 ご主人様の命令でたくさんの男性に抱かれてきた。
 乱暴に扱う人もいれば、恋人のようにやさしく接してくれる人もいた。
 どれも嬉しかった。
 大きくて硬い身体に包まれると幸せな気分になる。
 まぁ、本当はご主人様が一番良いんだけど、
 忙しい方だからなかなか相手をしてもらえない。
 たまにどうしようもなく欲しくなる夜があって、
 そういうときは前に会った男の人に連絡を取るの。
 ルール違反だけど、みんな喜んで会いに来てくれる。

 ある日、久しぶりに貸出命令が出た。
 指定されたホテルの部屋に行くと、そこにいたのはオンナだった。

「はじめましてー!よろしくー!」
 長い金髪、濃いメイク、端正な顔立ち。
 モデルみたいなスラリとした体型をしている。
「うわぁ!かわいい!ねえ写真撮って良い?」
 背は僕より高い。170cmくらいだろうか。
 長袖のシャツにデニムのショートパンツというラフな格好。
「……はい」
 カシャ。
「わたしカオリっていうの。お名前は?」
 カシャ。カシャ。
「ユウマです」
「こおおんな可愛い子が来てくれるなんてお姉さん嬉しい!!」
 急に抱きつかれる。大きな胸で視界が塞がれた。
 柔らかな感触、香水の匂い。どうしようもないほどオンナだった。
「前呼んだら男丸出しのオッサンが来てさー、しかもJKの格好してんの!!もうキモすぎて、ケツにバイブ突っ込んで部屋に放置してやったわ」
 僕が来たのがよほど嬉しいのか子犬のように跳ね回っている。
「クレームつけて良かったけど、このレベルがくるのは予想外!!」
 彼女がどこの誰に文句を言ったのかは知らない。
 そもそも貸出調教のシステムをよく把握してなかった。
 僕は女が相手と分かっていたら断っていたと思う。
「ささきてー。ああ、シャワーなんで浴びないでよ。匂うほうが好きなの」
 ベッドに連れて行かれると、あっという間に裸にされた。
「うわぁ、発育中って感じだねー。ユウマちゃんはいま何歳なの?」
 僅かに膨らんだ胸と縮み上がった性器。彼女は物珍しそうに眺めている。
「二十三です」
「うっそー年上?年下かと思った。私、二十歳ねー」
 なぜ年下なのにこんな遊びが出来るのかと思ったが、ご主人様いわく世の中には知らないほうが良いことがあるためらしい。
「ねえ、もう勃たない?」
 指で弾かれ、揺れる性器。
「少し芯が入った感じになりますけど、完全には勃ちません」
「へぇー、すごいねー。真性じゃないよね?剥いていい?」
「ど、どうぞ」
 弛みきった皮が捲りあげられ、敏感な亀頭が顔を出す。
「あははは。めっちゃピンクじゃん。キレイ!!写真撮ろう〜」
 カシャ。
「あれ、もしかして童貞?」
「……ええ、はい」
「うっそー、一回くらいは使っとこうよ。今日、卒業する?童貞卒業?」
 この人は脳と口が一直線に繋がっていて、思ったことを何でも喋る人間のようだ。
「お望みならばそうしたいんですけど、挿れられるほど硬くはならないんです」
「もしかして完全に男が好きなタイプ?ごめんねー、ほら女装子さんって両方いける人が多いじゃん。まぁ、モノは試しだよ」
 彼女は僕の手を取って、自分の胸に導いた。
 プニプニとした感触が伝わってくる。
「ほら、揉んでいいよ」
「えっ……」
 言われるがまま指先を動かす。
「ちょっと中学生じゃないんだからさー」
 手を外され、僕はベッドに押し倒された。
「こうやって揉むの」
 女が僕の胸を責めだした。
「…ん…んん…ああ」
 男の人とはまるで違う。荒々しさはないが、ねっとりと絡め取られるような動き。
「ねえ、ユウマくんは何でこんな女の子みたいな格好をするようになったの?」
「男の子が好きで、女の格好すれば相手してもらえるかなって思って」
「へぇ、じゃあ、私だと感じない?」
 長い舌先が乳首に触れる。唾液が滴り落ちた。
「ひやあ、そ、そんなことないです。きもちいいです」
「わたしが男に産まれてたら、女とやりまくるけどなー」
 白い手が下半身に移った。
「ユウマくん、イケメンだから男のままなら入れ食いだよ」
 性器をギュッと握られ、操縦桿のように左右に倒される。
「この子もかわいそう。持ち主がこんなオカマだったばっかりに酷い目にあっちゃって」
 彼女は笑顔のまま。けど、力がだんだんと強くなってくる。
「わたしさ、じつはあんたみたいな人間が好きじゃないんだよね。女の都合の良いところばっかり取ってさ、男に媚び売って、すんげームカつく」
「い、痛いです」
「我慢しろよ。女ってのは痛みのある生き物なんだよ」
 その顔から表情が消えた。
「う、うう、い、いたい」
 そのまま潰されるのではないかと思うくらいに握られたあと、解放された。
「こんなもんじゃないよ。女の痛みって」
 彼女はペニスバンドを下半身につけると、僕のお尻にローションを塗りたくった。
「ケツに入るなら男でも女でもいいんだろ。この変態野郎」
 冷たいゴムの塊が一気に突っ込まれる。
「うわ、ゆるゆる。くそ漏らすなよ」
 正常位。彼女は腰を動かし始めた。
「あはは、チンチンが揺れてる。うけるー。動画撮ろう〜」
「ああん、だ、だめぇ」
 男の人は従えば可愛がってくれる。でも、この女はただ痛めつけたいだけ。
「情けない顔しやがって。悔しかったらパパに泣きつけよ。言っとくけどな、今日はお前のご主人様に依頼されたんだよ。
最近遊びがすぎるようだからね」
「な、なんのこと」
「しらばっくれんなよ。貸出で知り合った男と黙って会ってんだろ」
 デコレーションでキラキラ光る爪先が僕の乳首を引っ掻き回す。
「やめて、い、いたいよ」
「今日はおしおきだ。男に責められるとお前が喜ぶからって、女の私が呼ばれたんだよ」
「そんな…あん…い、いい」
「男はさ、あんたを女扱いするかもしれないけど、私らから見たら、全然女じゃないよ。あんま勘違いしないようにね。マジでキモいからさ」
 鈍器で頭を殴られたような衝撃だった。
 そんなことは分かっているのに、ご主人様にバレていたショックと重なって、心が芯から震えて崩れていきそうになった。
「こんだけカウパー出るなら、精子も出してみてよ」
 性器が親指と人差し指で摘まれ、上下に扱かれる。
「で、でないんです。むりです」
「ああ、種無しでも汁くらいは出るんでしょう」
 テラテラと光る鈴口に彼女の爪が突き刺さる。
「……!」
 声を発することすら出来ないほどの激痛が走った。
「あっ、ごめーん。痛かった?私ついてないから分からないの」
 そう言いながら今度は指の腹で撫で始めた。
「本当に出ないの?ここをこう擦っても?」
 彼女は僅かに腰を上げた。中のゴム製のペニスが前立腺に当たる。
「ひ、ひい、いいん」
「きゃははは。な、なにその喘ぎ声。うけるー」
 それまでの激しさから一転して、深く沈み込ませるように腰を動かす。
「あんた所詮は男なんだから、調子乗るんじゃないよ」
 一番奥まで突っ込まれ、一瞬息が止まる。
「はぁー、なんか疲れちゃった」
 あまりの急な幕切れに不意をつかれた。
 彼女はベッドを離れて、何か道具を持ってきた。
「そ、それは?」
「んー?まぁ、いいからいいから」
 手錠と目隠しをされる。そしてモーター音が聞こえ始めた。
 お尻に何かが挿れられた。バイブレーターのようだ。
「く、うう、ああ」
 何も見えない恐怖心から敏感になっていた。
「じゃあ、ご飯食べてくるねー。あっ、わたしって凄く物忘れが激しい人だからさー、あんたのこと忘れて家に帰っちゃうかもー」
「そ、そんな。あんまり…」
「明日の朝になったらホテルの人が来るからさー、死にはしないでしょ」
 バイブレーターの振動が弱くなったり、強くなったりしている。
 どうやら彼女がスイッチをいじってるようだ。
「ホテル側には特別なチップを渡してるから、警察沙汰にはならないし安心してよ」
「だ、だめ、ひ、ひどい」
「一晩反省することだね。このカマ野郎が!」
 彼女は僕の腹を思いっきり蹴った。
「くはぁ」
 吐き気がこみ上げてくるが、同時に振動が最大になる。
「う…!!!」
「じゃあねー」
 彼女は部屋から出ていった。
 虫に食い散らかされた葉のようにボロボロになった気分だった。
 真っ暗な中で浮かぶのはご主人様の顔。
 言いつけを守らなかった僕が悪いけど、こんなのは酷いよ。
 もう捨てられちゃうのかな。
 いつのまにか瞼が濡れていた。

娯楽室の痴態

 激しい音楽が扉を震わせていた。

「おっ、やってるな」

 男は僕のお尻を触りながら言った。
 薄いピンクパンティーなので、掌のゴツさは否応無しに伝わってくる。
 その部屋は娯楽室と呼ばれている。
 男たちの愉しみが集められ、ストレスを解消する場所だ。
 ドアを開けると、心臓に響くような重低音が響いてくる。
 タバコの煙が充満して視界は悪い。
 右側の奥の方にバーカウンターがあり、壁際にダーツボードが並んでいた。ビリヤード台があって、男たちが玉突きに興じている。いくつかのテーブルで酒を飲む人たちがいた。
 左側には三つのベッドが並んでいて、屈強な全裸の男たちが取り囲んでいた。
 僕はそちらに連れて行かれた。
 音楽の煩さは少し減ったが、今度は女たちの喘ぎ声が耳に入ってきた。
 ベッドに女がいた。一人は黒髪で二十代前半、もう一人は茶髪で三十代くらい。名前は知らない。でも、こういう女がいることは知っていた。
 白くて薄い肌に包まれ膨らんだ胸やお尻を持っている彼女たちを見ていると、当たり前ながら自分とは違う性だなと感じる。
 だからといって、この部屋にいる男たちと僕が同性とも思えない。
 彼らは黒く分厚い筋肉を身にまとい獣の器官を下半身に携えている。
 むせ返るような雄の匂いが辺りに満ちていた。
 女たちはそれぞれ二人づつの男に犯されていた。上の口と下の口。熱に浮かされたような顔つきで激しく求めている。

「こいつもやっと素直になったな。最初はずいぶん暴れたけど、いまじゃもうチンポの虜だぜ」

 男はそう言いながら黒髪の女の尻を叩いた。ピシャリと小気味いい音が鳴り、他の男たちが笑った。

「ああん、いい、わ、わたしが生意気でしたぁ、ゆるしてくださぁい」
「しょせん、女ってのは串刺しにされたら男の言うこと聞くしかねえんだよ」
「この茶髪は相当に遊んでやがるぜ。ユルユルだ。おい、自分だけ楽しんでないで、ちゃんと締め付けろよ」
「いい、ああん、ご、ごめんなさい、が、がんばって、し、しめつけましゅ」
「ヤラれてるときの女の知能なんて動物並みなんだからちゃんと躾けないと」

 茶髪の女は喘ぎながらも男たちに許しを乞うた。

「よお、来たな。ん、新しいのを買ったのか?」
「ああ。特別品だ」

 男は僕を空いている真ん中のベッドに放り投げた。

「なんだ男じゃねーか」
「うそつくな。女だろ」
「オンナ男か?」
「うーん、髪長いし化粧はしてるみたいだが女物の下着を付けた男だぜ」

 好奇の視線に晒される。
 一人の男が割り込んできて、僕を片手で軽々と持ち上げ、肩に担ぎ上げた。

「お前ら知らねえのか。ここの男は俺らに媚びるためにオカマになったんだ」
「やめろよ。俺が買ったんだぞ!」
「まぁ、いいじゃねえか。しかし、軽すぎて笑えるわ。こんな華奢な身体で俺たちに勝とうと思ったのかよ」
 
 僕の尻は楽器のように叩かれた。

「お前ら全員チビでガリガリだしよー。張り合いがないぜまったく。おらおら何人くらいのチンポを咥えたんだ」
「た、たくさんの男とエッチしました」
「へっ、男のくせに情けねーなー。俺がお前みたいになったらまっさきに自殺するけどな」
「おいおいイジメてやるなよ。それにこいつはもう男じゃねーだろ。見ろよ、そのチンポ」
 
 僕の下半身は脱毛されパイパンだ。薬の投与で睾丸はパチンコ玉くらいに縮んで、竿は小指の半分くらいの大きさだ。

「まじかよ。赤ん坊のほうがまだデカイぜ。おい、これその茶髪女に挿れてみようぜ」
「む、ムリです。僕はもう勃たないんです」

 茶髪女のベッドに僕を放り投げた。

「ほら頑張れよー」

 僕は必死に腰を押し付けて、割れ目に挿れようとした。出来ないのは分かっている。しかし、何もしなければ殴られる。痛いのは嫌だった。

「ん、はぁ、ん、い、んん」 

 唸り声を上げても無意味。手前の茂みに擦れるだけだ。

「ケツ穴弄りながらなら勃つじゃねーのか」
「だ、だめなんです。もう僕は種無しなんで勃たないんです」
「こんなナヨナヨした男は早くどかしてください。私は皆さんみたいな逞しい男が大好きなんです」

 茶髪女は僕を突き飛ばすと、周りの男たちにしなだれかかった。

「おーおー可哀想な奴だ。俺がお前を買ったんだ。たっぷり可愛がってやるぞ」
「じゃ、俺もちょっと味見しようかな。へぇ、胸も膨らんでるな。小学生のおっぱいみたいだけど」

 僕を連れてきた男が口にチンポをねじ込み、もう一人は乳首を触ってくる。

「肩や腰はまだ男だけど、肌質は女っぽいな。この髪は地毛か」
 
 丸太のような指が僕の身体を弄くり回す。

「このみっともない身体は薬のせいか?」
「ああ、でも、薬が効きやすい体質らしいぜ。オカマ人種だってことだ」
「まぁ、こんな弱い身体に生まれたことを恨むんだな。おっ、ザーメンは出ないけど我慢汁はでるのか」
 
 男が僕の性器を指で突っつく。

「うわぁ、めちゃ出るじゃねーか。普通の女より濡れやすいな」
「女よりいいぜ。なにせ中出ししても妊娠しないからな」
「おい、それ早く言えよ。上からのお達しでゴムなしはダメだって言われてるけど、こいつならOKか?」
「もちろん。好きなだけやりな」
 
 男の目が変わった。
 僕はすぐに抱きかかえられ、真ん中のベッドに連れて行かれた

「おいまじかよ中出しOKなのかよ。次は俺だぜ」
「じゃあその次。種付け制圧作戦だな」
「馬鹿言ってんじゃねえよ。この女をやったら俺もヤラせろ」
 
 男たちが色めき立つ。

「お前ら慌てるな。まずは俺からだ。ずっと生でやりたかったんだぜ」
 
 尻穴に熱い感触が走り、肉棒がメリメリと入り込んでくる。
 息を一瞬忘れ、再び肺が空気で満たされる時に、大波のような快楽が押し寄せる。
 中で何度も爆発しているような感覚で、自分のベッドだけ地震が起こっているように視界が揺れる。
 こんな強い雄に内蔵を引っ掻き回されたら、もう男なんてやってられない。

「こりゃ、女より締め付けるな。お前みたいなオカマは男に媚びて生きてりゃいいんだよ」
 
 僕の肉体からはどんどん男の部分が失われている。筋肉は日に日に細くなり、贅肉がついている。性器は排泄以外にはもう機能していない。胸はまだ小さいが、すでに男の胸ではなかった。
 時間と共に変わっていく身体。その始まりは敗北で折られた心からだった。

「は、はい、な、なんでもいうことききます」

 頭を垂れ、跪いて生きていくしかない。すべては雄の意のまま。絶対的な力に服従するのが雌の務め。

「き、きもちいぃん、か、かんじちゃう、し、しんじゃうう」

 モノのように扱われ、何の暖かさもなく欲望をぶつけられる。前立腺が焼き切れるほどに擦り上げられ、そのうち本当に自分の中に子宮あるのではないかと思うくらいに思考力が低下していく。

「へへ、その女々しい顔と身体がたまんねーな。お前、男に産まれたのは失敗だったな。なぁ、女に産まれた方が良かったんじゃねーの?」
「い、いえ、男にうまれてよかったんです」
「あ?なんでだ?」
「だって、男じゃなくなるのってゾクゾクするほどのキモチイイんですもの」