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めす旦那 3

 唇が重なり合う。愛する人がいるという実感が熱を持って伝わってくる。
 柔らかい舌が明宏の中へと入り込んでくる。
「ごめん。ちょっと疲れてるみたいだ」
 唇が離れる。明宏は顔を伏せた。
 オレンジ色のライトに照らされている早織の肉体はとても魅力的だ。普段の和服姿からは想像できないような巨乳、そして腰回りの美しい曲線。
「そっか。仕方ないよね」
 秋が深まる時期の旅館やまがきは一年で最も忙しい。
 連日遅くまで働き疲れているのだが、明宏は勃たない原因は他のところにあるような気がしていた。
「ねえ口でしてあげようか?」
 そう言って顔を近づけてくる早織。つぶらな瞳の中で淡い光が揺れている。こんな申し出を断る男などいないはずだ。
「へ、変な事言うなよ。キミも疲れているだろう」
 明宏は早織と結婚するまで女性と付き合ったことがない。だから、世の女性が性に対してどれくらいの意識を持っているのかよく分かっていない。
 今どきはフェラチオくらいは平気で言うのかもしれないが、普段の妻からは想像ができないがゆえに驚いてしまう。
(オレで満足しているのかな) 
 先月のロブとの一夜を経験してから、自分のセックスに自信が持てなくなった。あの夜と比べれば子どもの遊びも同然だ。
 実際、早織は顔立ちも美人だし、体つきも整っている。他所の男がほっておくわけがない。
(いつ大崎が早織を襲うやもしれない。もしそうなったら……)
 明宏は頭に浮かんだ考えを振り払った。
「ねえ、明日は有名なお客さんが来るんでしょう」
「ああ、作家の三好由紀夫だね」
 数々の文学賞を受賞し、出版される本は常にベストセラーになる小説家だ。もちろん大崎に紹介された客である。
「私、本は全然読まないけど、うちも有名になったものよね」
「そうだね。あ、そういえば三好さんの本なら一冊持っているけど貸そうか?」
 明宏は読書好きであった。やまがきの主人になってからは本を読む暇はないが、学生やサラリーマン時代はよく読んでいた。
「いや、いいわ。字読んでいると眠くなるから……おやすみなさい」
「そっか、おやすみ」
 早織は癖なのか、明宏に背を向けて眠る。
 そういえば早織の趣味は何だろうか。まだ若いのにこんな山奥にいさせるのは可愛そうなことなのかもしれない。 
 静かな寝息が聞こえてきた。明宏はそっとベッドサイドのライトを消した。



 丸刈り頭の三好由紀夫は小説家というよりは体育教師のように見えた。
 大崎の同行はなかった。「あいつは苦手だ。とにかく接待しろ。何でも言うこと聞け」とだけ言っていた。
「いや、素晴らしい。実に素晴らしい」
 もみじの間に入ってからというもの三好は上機嫌であった。
 明宏は法被姿である。まだ昼であった。
「この空間には想像力を刺激されるよ。新しい作品の構想が練れそうだ」
 また変態がやってくると思ったが、三好は普通の人間に見えた。
「ありがとうございます」
「ところで浴場はもう入って良いのかな?」
「はい、お約束どおりに貸し切りにしております」
「よし。では君もきたまえ」
「それは一体どういう……」
「男同士、裸の付き合いといこうじゃないか。僕は君に興味がある。若いのにこの老舗旅館を任される男の気持ちを知りたいんだ」
 やまがきの湯にはかつての武将や剣豪が刀傷を癒やしたという昔話がある。
 そもそも地主だった山垣の祖先が温泉を掘り当てたところから、旅館の歴史が始まっている。
 浴場は何度か改装が行われ、現在は岩風呂となっている。山の景色が一望できるので客からの評判は良い。
 脱衣所で服を脱ぐ三好。均整の取れた鍛え上げられた肉体をしていた。洗面台の鏡に向かってボディビルダーのようなポーズを取っている。
 客と旅館の主人が一緒に風呂に入るなど聞いたことがないが、そう望むのならそうするしかない。
 明宏は服を脱いだ。最近、少し太ってきた。腹の周りにやや肉がついてきている。
 洗い場で身体を洗い、湯に入る。三好は肩まで浸かり「極楽だ」と呟いた。
「君の身体はずいぶんとだらしないじゃないか」
「はい、まぁ年齢的にも太りだす頃ですから」
「何を言ってる。僕も幼い頃は貧弱な体格をしていたが、トレーニングをすることでこの肉体を手に入れた」
 三好は腕を出して力こぶを作った。山のような膨らみがボンと出ている。
「肉体は実在であり、言語とは記号だ。その両輪が進むことで小説が生まれるのだ」
「はぁ……」
 ようやく作家らしいことを言ったが、明宏にはいまいち意味が分からなかった。
 三好は急に湯に潜った。深さはないので頭や尻が鮫の尾鰭のように出ている。そして、明宏の目の前で湯から顔を出した。
「ここは川だ。君は小魚だ。僕は鳥だ」
 いよいよ理解できない。
「鳥は空から急降下して小魚を食べる。これは僕にとっての小魚だ」
 また湯に潜ると、明宏の微竿を口に含んだ。唇でグニグニと動かしてくる。
 湯の中で三好の手が伸びてくる。明宏の股間をがっしりと掴み、その感触を楽しむように揉んでくる。
「あぁ、素晴らしい。男の身体は芸術だよ」
 湯から上がった三好は明宏を立ち上がらせた。三好の背丈は明宏よりも少し大きいくらいである。
 股間は湯気と共に高く登っている。その矛先を明宏の同じ場所に擦りつけてくる。
「僕の刀はどうだい」
 細い茎の周りを太い茸がぐるぐると回る。男同士でしかできない兜合わせ。お湯のせいもあって明宏の熱はどんどんと高まっていく。
「女のチンポという言葉は矛盾するように思えるが、いままさにここに存在している」
 包皮をめくられ敏感なそこに三好の硬い先端が重なり合う。指や舌よりも強い感触があった。
「あぁ」
 明宏は無意識に三好のほうに身体を寄せていた。硬い先端で玉袋の辺りを弄ばれる。
 唇が塞がれた。三好は濃厚に舌を絡めてくる。明宏はそれに答える。
 湯けむりの中で二人は互いの身体を味わっている。
 三好は右手で明宏の乳首を突き、左手で二本を合わせる。そして、扱き上げる。 
 三箇所責めに明宏は全身をくねくねと動かし、唇の合間からは熱い吐息が漏れる。
「い、いくぅ」
 微竿から精子が勢いよく飛び出し、湯の中へと沈んでいった。
 明宏は先に果ててしまい、相手の機嫌を損ねたと思った。しかし、三好は満足そうな顔で再びお湯に身体を沈めた。
「あ、あのすいません。さきに……」
「気にすることはない。この湯の中に君の何億という精子があると思うと、嬉しくなってくる。まさしく命の湯だよ」
 明宏は大崎が三好のことが苦手だと言ってた理由がなんとなく分かった気がした。



 グレーや黒の背広が視界を埋め尽くしていた。駅に着くとまた大量の人が乗り込んでくる。
 朝の通勤ラッシュ。明宏にとって久しぶりの満員電車である。
 乗客が男性ばかりだなと思っていたら、隣の車両が女性専用車両であった。
 数年前まで自分はこのサラリーマンの集団の中の一人であった。それがいまでは旅館の経営者もとい男娼まがいのことをさせられている。
 今日は大崎に指定された都内のホテルへと向かっている。そこである人物の相手をしろとの命令であった。
 目的の駅で降り、ホテルへと向かう。一等地にあるラグジュアリーホテルだ。
 フロントで名前を告げると、最上階のスイートに案内される。
「はじめまして。ようこそ」
 美魔女。そんな言葉がぴったりと似合う熟女であった。
 ベージュのスーツは豊満な身体を美しく演出している。
 明宏はこの人物を知っていた。真田由美子。ホテル業界の女王として有名だ。
 もともとは銀座のホステスだったが、資産家と結婚し玉の輿に乗る。夫に出資してもらいホテル経営に乗り出す。
 きめ細かいサービスと高級感の演出が話題を呼び、客室は連日予約で埋まっていた。
 いまいるホテルも由美子が経営するホテルであった。
「よろしくおねがいします」
 大崎のことだから男性相手にデリヘルまがいのことをさせられると思っていた。まさかこんな美人の相手をするなんて。
 早織のことが頭をよぎる。今までは男性相手だったので意識してなかったがこれは浮気ではないだろうか。
「大崎とは古い知り合いなの。手頃な相手がいないって相談したら、あなたを勧められたわ。色々と聞いてるわよ。若いのに大変ね」
 どれくらいのことを知っているのだろうか。由美子の表情からは読み取ることができない。
「じゃあ、裸になって。モタモタしないでね。私の時間は貴重なの。このあと会議だから早くして」
 服を脱いだ明宏を由美子は品定めするように眺めた。
「ふうん。大崎もやることがえげつないわね。女に見られる気分はどう?」
「どうって……よくわかりません」
「まだ自分の肉体の価値を分かってないのね。でも、だんだんと分かるようになるわ」
 由美子はジャケットを脱いだ。白いシャツのボタンを外す。紫色のブラジャーが覗く。
「そこの机に手をついて、お尻を見せない」
 主導権は完全に握られていた。明宏は命令されるがままに動く。
「約束どおり、浣腸で準備は済ませてるわよね」
「……はい」
「確かめさせてもらうわ」
 由美子の細い指が一本、穴の周りをなぞっていく。感覚は微細だが、これから起こることを否応無しに意識してしまう。
「へぇ、そこそこ使い込んでるわね。何人くらいの男に抱かれたの?」
「じ、十人ほど」
 もみじの間で大崎が紹介する変態に抱かれてきた。もう女よりも男とセックスした回数のほうが多い。
 ローションをつけられた指が穴の中にゆっくりと入っていく。
「なるほど。こういう締りね」
 指先が前立腺を刺激する。甘い鈍痛が腹に響いてくる。
「でも不思議だわ。大崎がなんであなたにそこまで入れ込むのか」
 ボーッとしていく頭に由美子の疑問が差し込まれる。
「そ、それは旅館の借金があるから」
「はした金でしょう。あの男は普段、億単位の金を動かしてるのよ」
 指が二本に増やされる。穴はなんなくそれを受け入れる。
「確かにあなたは可愛いけど、これくらいのレベルなら都会にはたくさんいるわ」
 直腸の中をぐりぐりと指が動く。太さはない分、感じるポイントを確実に攻めていく。
「本当に調教するなら自分の手元に置いとくはずよ。わざわざ山奥まで行くなんて時間が掛かるだけじゃない」
 ついに指が三本になる。
「昔から大崎を知っているけど、あれはどんなえげつないことでも平気でやる男よ」
 パシンという音が鳴った。由美子が明宏の尻を叩いたのだ。
「あはは。良い音ね。昔はよく私も叩かれたわ。男たちにね」
 指が引き抜かれる。そして目の前にスリッパのような形をした黒い平な物体をぶら下げられる。
「飴の時間は終わりよ」
「そ、それは」
「あら痛いのは初めて?怖がらなくてもいいわ。すぐに気持ちよくなるから」
 ブワっという空気が揺れる音がしたと思うと、尻に強烈な痛みが走った。
「ああぁ」
「これ別にあなたを喜ばせるためにやってるんじゃないの。ただのストレス解消だから。エクササイズの一種かしら」
 バシン。バシン。と音が鳴るたびに尻がどんどん赤くなっていく。
 由美子は軽く息を乱しながら、サディステックな喜びに浸っている。
「じゃあ、次はこれ」
 由美子が手に持っているのは一本鞭であった。ビュンビュンというしなる音が明宏の恐怖心を煽る。
 鋭い音と共に切り裂かれるような痛みが走った。さきほどの道具よりも集中的で何倍も痛い。
「そ、それはやめてください」
「あーら、あなたに口答えする権利はないの。まぁ、借り物だから程々にしてあげるけど」
 と言いながらも何発も鞭を打ち込んでくる。
 尻は全体的に赤くなり、その中に亀裂のように真っ赤な鞭の跡がついている。
 明宏は痛みのあまりに涙を流しだした。
「こんなものね。ふぅー、いい汗かいた」
 由美子はジョギングをし終わったあとのように爽快感あふれている。
「シャワーを浴びたら、私は帰るわ。この部屋は明日の朝までいていいわよ」
 尻からジンジンと響くような痛みが収まらない。
「ここに薬を置いておくわ。しばらくは座るのも辛いわよ。ふふふ、ごめんなさいね」
「いえ……」
「こうやって若い男をイジメるのって最悪だと思っていても辞められないのよね。若い頃に自分が散々、男に遊ばれたからかしら」
 そう呟く由美子の瞳にはどこか冷たさがあった。
「老婆心ながら忠告するけど、大崎とは早く縁を切るべきね」
「し、しかし、僕には旅館が……」
「どうせボロい旅館でしょ。下手すれば命を取られかねないわよ」
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